岩谷産業はこのほど、100%子会社で米国現地法人である米国岩谷会社が、カリフォルニア州でメッサー社が運営する水素ステーション4カ所を買収し、米国内では日系企業初となる水素ステーション運営を開始したと発表した。
設置方式はいずれも「定置式オフサイト方式」で、うち3カ所がガソリンスタンドとの併設。4カ所合計で、1.18t/日の液化水素を供給できる。
岩谷産業は、日本国内では水素のトップサプライヤーとして、現在国内23カ所の水素ステーションを運営。カリフォルニア州での運営参入を機に、米国での水素ステーション運営のノウハウも蓄積し日米での整備を進めていく。
今後は、水素エネルギー社会実現のために必要とされているCO2フリー水素についても、北米での製造・供給体制の構築に向けた情報収集・調査・検討を加速していく考えだ。
カリフォルニア州では、州政府や自動車メーカーによる燃料電池自動車(FCV)の普及が促進されている。FCV利用者は、燃料の水素が3年間は無料、フリーウェイ優先レーンが走行可能などの特典もあり、すでに5658台(2018年12月1日現在)のFCVが普及し、日本の約2倍となっている。
ほかにも大型物流トラックのFC(燃料電池)化や、ロサンゼルス港での港湾車両をFC化する計画など、水素エネルギー利活用への取り組みが進行中で、今後の水素需要の伸長が見込まれている。
一方で、同州の商用水素ステーションは39カ所と、日本の約3分の1にとどまっており、同時に水素ステーションへの水素の安定供給も課題となっている。
岩谷産業は、引き続き、FCVの早期普及とユーザーの利便性向上に貢献するとともに、水素エネルギー社会の早期実現に向けて積極的に役割を果たしていく方針だ。