昭和電工は28日、ノンスティック・コーティング剤(NSC)を製造・販売するILAG社(スイス)の全株式を取得することを決定し、ILAG社の株式を保有するHelvetica Capital AG(スイス)との間で株式売買契約を締結したと発表した。
NSCとは、調理器具や家電製品などの消費者向け製品や、自動車・産業機器などの工業製品に塗布される、焦げ付き、汚れ防止を目的とした材料で、世界の市場規模は約1300億円(2019年、昭和電工推定)と見られている。
ILAG社は消費財NSC市場で世界第4位、欧州市場では第2位に位置し、特に欧州で高いブランド力をもっている。消費財だけでなく、自動車部品向けなど工業分野にも市場をもつ企業で、スイス国内で生産した製品を50ヵ国以上に供給している。また、中国にも生産拠点があり、顧客である中国国内メーカーの調理器具は世界中で販売されている。
昭和電工が2016年11月に買収した消費財NSC大手のGMMグループは、米国の大手調理器具メーカーを主な顧客としており、GMMグループとはグローバル市場で、販売エリアの補完など多くのシナジー効果が期待できる。
昭和電工のNSC事業は、今回の買収により6000万ドルの売上規模を得て、特に消費財市場で世界的な競争力をもつ事業となる。同社は機能性高分子・機能性モノマー事業でコーティング材料向けの原料を販売しており、高機能コーティングの材料・処方、評価方法の知見をもっている。
NSCはフッ素樹脂系、シリコン系、セラミックス系があり、同社の幅広い事業・製品・技術を組み合わせることで、最適なソリューション提供が可能な市場である。
なお、ILAG社とGMMグループを統括し、グローバル事業運営を行うため、昭和電工内に「コーティング材料部」を7月に新設する。