宇部興産 タイでPCDⅡ期製造設備の増強に着手

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2019年7月17日

 宇部興産は16日、タイ・ラヨーン県にある子会社のウベファインケミカルズアジアの工場で、ポリウレタン原料のPCD(ポリカーボネートジオール)Ⅱ期製造設備の増強に着手したと発表した。アジア圏での需要拡大に対応するため。来年7月稼働予定で、生産能力は従来から倍増の年産8000t規模になる。

 PCDは宇部興産のファインケミカル事業の主力製品の1つで、主に高級ポリウレタンの主原料(ポリオール成分)として使われており、自動車や家具、建材などのコーティングや人工皮革、接着剤などに採用が広がっている。

 PCDを使用したポリウレタンは、耐熱性・耐加水分解性・耐油性・耐候性などの機能が大幅に向上するだけでなく、肌触りなどの素材としての高級感も含め多くの面で優れており、需要が急拡大している。

 また、VOC規制強化などへの対応のため、溶剤を含まない環境対応型水性塗料(PUD:水系ポリウレタンディスパージョン)の原料としてのニーズも高まっている。

 最近は、特に中国を中心としたアジア圏での消費者の高級・高機能志向の高まりや、法的環境規制強化による水性塗料への切り替えが増えており、引き続きPCDの需要増が見込まれる中、需要地に近いタイで増強することにした。

 同社は日本・スペイン・タイでのグローバルな技術連携を強化することで、ユーザーニーズに対応した新規グレード開発とユーザーサポートにも注力する。これらの強みを生かし、世界一のPCDメーカーとしての地位をより強固なものにし、市場の成長をけん引していく。