クレハは23日、英国ケンブリッジ・タッチ・テクノロジーズ(CTT)のシリーズB資金調達に、リードインベスターとして出資したと発表した。
CTTはケンブリッジ大学発のスタートアップ企業で、独自の信号解析アルゴリズムと、力やゆがみを加えると電気を発生する圧電性フィルムの組み合わせにより、シンプルなアーキテクチャーによる次世代型3Dマルチタッチセンサーを開発している。
指などが触れた位置の情報とともに、表面を押し込む圧力の情報を検知する同センサーは、シンプルな構成であるため、低コスト化が期待できる。シリーズBは2016年12月に行われた1回目の資金調達に続く、開発加速のための2回目の資金調達。
今回のシリーズBの資金調達により、これまで以上に開発スピードを加速させ、スマートフォンや車載向けなどのディスプレイをはじめ、さまざまな電子デバイスへの用途展開を図る。
クレハは1970年からフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製造している。この樹脂の用途展開の1つとして、70年代前半から延伸加工などを施した圧電性フィルム「KFピエゾ」を販売してきた。2016年からは、この長い歴史をもつ同社の圧電性フィルム応用技術で、CTTの次世代型3Dマルチタッチセンサーの開発を支援している。
同社は中期経営計画「Kureha‘s Challenge 2020」で、既存事業における重点施策として、川下を中心とする新たな用途展開、異なる領域への展開を掲げている。今回の出資を通じてCTTとの連携を強化し、次世代型3Dマルチタッチセンサーの開発と用途展開に参画することで、「KFピエゾ」事業の拡大を図る。