プラ廃棄物を熱分解油に、再利用プロジェクトを推進
BASFは熱化学的なプロセスを使用することでプラスチック廃棄物をガス化・油化し、再利用する「ケムサイクリング・プロジェクト」を通して、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現に向け取り組んでいる。
昨年末にプラスチック廃棄物を転換した熱分解油を、自社の生産工程の原料として初めて使用し、試作品を作製。10月に開催するプラスチック・ゴム産業の世界最大の展示会である「K2019(国際プラスチック・ゴム産業展)」に先立ち、7月に行われた記者会見で、パートナーの4社が同プロジェクトで作られた初の試作品を披露した。
自動車大手のジャガー・ランドローバーは、BASFのポリアミド樹脂「ウルトラミッドB3WG6・Cサイクルド・ブラック」を使い、同社初のSUV電気自動車「Iペース」向けに、プラスチック製フロントエンドキャリアの試作品を開発。保護包装材と技術成形部品の世界的なサプライヤーであるストロパックは、温度に敏感な医薬品向けの絶縁包装と鮮魚輸送用の魚箱、電子デバイスの保護包装に、BASFの発泡スチロール「スタイロポールP・Cサイクルド」を採用した。
また、欧州フィルム包装大手のズードパックは、モッツァレラチーズ向けの特別な密封包装に、ポリアミドフィルムとポリエチレンフィルムを製造。エネルギー管理のデジタル化と自動化のリーディングカンパニーであるシュナイダーエレクトリックは、ケミカルリサイクルされた「ウルトラミッド」から回路遮断器を製造した。
BASFは同プロジェクトで、現在リサイクルできない複合素材のプラスチックや、汚れのあるプラスチック廃棄物を熱分解油に転換することを目指している。これを市場へ展開できる準備が整えられれば、同プロジェクトはプラスチック廃棄物の課題を解決する、リサイクルと回収の既存プロセスを補完する革新的なものになると同社では考えている。