石化協 第21回事故事例巡回セミナーを大分地区で開催

,

2019年9月25日

 石油化学工業協会(石化協)はこのほど、9月13日に開催された「第21回事故事例巡回セミナー(大分地区)」を報告した。

 同セミナーは保安管理に関する現場管理職の気づきの機会として、諸先輩などの生の声で「経験や思い」を語ってもらう場として、毎年夏と冬に開催。今回は大分地区にある各社の製造課長など約80人が参加した。

 講演に先立ち、保安・衛生小委員会の岩永徳幸委員長(三井化学理事 生産・技術本部 安全・環境技術部長)が「保安・安全の確保は事業継続の最重要基盤の1つである。本日の講演から得た気づきを自事業所・自部署の安全活動に役立ててもらいたい」と挨拶を述べた。

 続いて、旭化成製造統括本部製造企画部上席研究員の中原正大氏が「化学プラント材料の損傷劣化に起因した事故防止」をテーマに講演。プラントの損傷事例解析・対策立案業務などに携わってきた経験の中から事故事例を紹介し、学術的な視点も踏まえた解析と対応策について説明を行った。

 また現場レベル、専門家チーム別に必要な教育のあり方、技術支援ツールの整備、社内外の専門組織とのネットワーク活用などの必要性について言及。最後に、事故防止のためには、対策の具体化、着実な実施、検証と改善を継続的に行うことが重要であると指摘した。

 住友化学レスポンシブルケア部長の伊藤孝徳氏が「プラント管理者の役割 事故防止と安全配慮義務」をテーマに講演。部長時代に味わった自らの辛い体験を基に、事故が起こるとどうなるのか、事故を防ぐためにすべきことなど、多くの具体的な事故事例を紹介。参加者が現場で何をすべきか、自ら考えることを意識させるような内容だった。

 加えて、管理者に必要な安全配慮義務に関する説明のほか、安全文化の八つの構成要素の考え方に基づく管理・活動が重要であることが示され、管理者の役割について再確認を行った。