出光興産と東工大 出光協働研究拠点を同大キャンパスに開設

, , ,

2020年4月7日

 出光興産と東京工業大学は、次世代材料の創成を目的として、今月1日に「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」(出光協働研究拠点)を東工大すずかけ台キャンパス内に開設した。両者は、2000年代初頭から高分子材料分野を中心に幅広い領域で共同研究に取り組み、新規繊維・フィルム材料開発をはじめとして優れた成果を上げてきた。

 今回新設した「出光協働研究拠点」は、これまでの個別共同研究の枠を超え、「組織」対「組織」の連携により大型で総合的な研究開発を推進し、新たな価値創造を目指した次世代材料の創成と人材育成に取り組む。同研究拠点は、「東京工業大学オープンイノベーション機構」の支援の下、高分子分野の基盤技術の強化・拡充と、次世代モビリティ・高速通信などの領域で社会変革を実現する革新的な技術開発に関する研究活動を行う。また、高分子以外の幅広い分野を含むテーマ探索も推進する。

 なお、高分子関連分野では、高分子構造・物性、成形加工を専門とする東工大物質理工学院の鞠谷雄士教授と出光の代表共同研究員である末次義幸Ph.D.が組織を共同運営する。

 両者は、幅広い分野で高機能材料事業(潤滑油・機能化学品・電子材料・アグリバイオなど)を展開する出光の強みと、物質・材料をはじめとする広い領域にわたり、高度な学術的知見と最先端の科学・工学技術を持つ東工大の強みを融合し、新たな価値創造に挑戦していく。

出光興産次世代材料創成協働研究拠点の体制 イメージ図
出光興産次世代材料創成協働研究拠点の体制 イメージ図

 

デンカと九州大学 がんゲノム検査の共同研究部門を設置

, , , , ,

2020年4月3日

 デンカと九州大学はこのほど、医療分野での新たな検査診断技術の普及と発展のため、3月23日に組織対応型連携契約を締結したと発表した。

 今後、両者は同大学内に先進的ながんゲノム検査に関する共同研究部門を設置し、同大学の研究資源とネットワーク、デンカが持つ検査解析技術に関するノウハウを融合させ、産学連携による研究を推進する。同共同研究部門を産学連携および学術的研究活動の拠点と位置づけ、がんゲノム検査技術の発展に貢献していく。なお、期間は今年6月1日~2023年3月31日となっている。

 同大学は「九州大学アクションプラン2015―2020」の中で、「先端医療による地域と国際社会への貢献」と「社会と共に発展する大学」を具体的な目標と取り組みの1つに掲げ、基礎研究から臨床研究への推進体制の強化や、産学官民連携によるオープンイノベーションを積極的に推進。

 また、同大学は組織対応型連携事業の枠組みの下で企業との「共同研究部門」を設置し、社会の多様なニーズに対して組織的かつ長期的に民間企業などと実用化に向けた産学連携に取り組んでいる。

 一方、デンカは経営計画「Denka Value‐Up」では、ヘルスケア事業を経営の柱の1つに位置づけ、ワクチン・検査試薬事業で培ってきたコア技術を、がん領域や遺伝子診断技術、感染症検査システムなどの新たな医療分野へ拡げ人々のQOL向上に取り組んでいる。

 同大学とデンカグループの連携は、50余年前の合成ゴムの物性測定に関する研究に遡ることができ、その後も長年にわたり、高分子やセラミックスなどの先端材料、検査薬技術を活用した新規バイオマーカー、鉱山の安全な採掘法など多岐にわたる分野について共同研究を進め、実績を上げてきた経緯がある。

 今後は、包括的な共同研究を中心に次世代技術開発を加速するとともに、さらに密接な協力関係を構築・活用することで、地域社会や国際社会の発展に貢献していく。

 

NEDOなど 長期貯蔵でも沈降しないMR流体を開発

, , ,

2020年4月1日

 NEDOはこのほど、早稲田大学、日本ペイントホールディングスと共同で、長期貯蔵でも沈降しない高い安定性を持つ磁気粘弾性流体(MR流体)を開発した。

 MR流体は、鉄などの磁性粒子をオイルなどの分散媒体に分散させた流体で、外部から磁場を加えることによって粘度が変化する特性を持つことから、車両のブレーキや制震機、ロボットのアクチュエーターなど機械制御への応用が期待されている。しかし、従来のMR流体は、分散媒体中の磁性粒子が沈降しやすいため、長期間使用すると、装置の損傷や動作が不安定になるといった課題があった。

 今回開発したMR流体は、磁性粒子の沈降を抑制するための側鎖を持つポリオキシレン脂肪酸アミド誘導体を分散媒体に適用するとともに、直径20~300㎚のナノ粒子を分散媒体に添加することで、半年の静置状態でも分離せず、外部からの磁場に対して高い応力を発揮することに成功。今回の成果により、MR流体を長期間にわたって利用することが可能となり、ロボットを始めとする様々な機械制御分野へ応用展開が期待される。

 今後、3者は、開発したMR流体を使った、ロボット用柔軟アクチュエーターの開発を引き続き共同で進める。また、日本ペイントホールディングスは、これまで塗料分野で培ってきた顔料などの微粒子の分散方法や安定化技術の知見を生かし、産業機械向けに最適化させた新たなMR流体の商品化に向けた開発を進め、さらなる応用分野の開拓を進める考えだ。

NEDO 首都高を使った自動運転の実証実験を開始

, ,

2020年3月27日

 NEDOは、管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」について、羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速道路で、合流支援情報などを活用したインフラ協調の自動運転の実証実験を開始した。

 今回の実証実験では、安全で円滑な自動運転や運転支援を実現するため、高速道路の実環境下で、一般道からETCゲートを通過して本線に合流するまでの区間を自動運転車で走行。これにより、インフラ協調による交通環境情報の提供技術の確立を目指す。

 SIP第2期では、交通事故の低減、交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善・コスト低減などの社会的課題の解決への貢献を目指して、自動運転の実用化に向け産学官共同で取り組むべき共通課題(協調領域)の研究開発を推進。昨年10月から開始した東京臨海部実証実験では、臨海副都心地域を中心とした公道の実環境下で、実験用車載器を搭載した自動運転車などを走行させることにより、交通インフラから提供される信号灯火色などの情報の有効性検証などを行っている。

 こうした中、羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速道路では、合流支援情報などを活用した世界でも例がないインフラ協調の自動運転の実証実験を今月16日から実施している。

 実証実験は、高速道路の本線への合流など自動運転の継続が困難な状況の中で、安全で円滑な自動運転や運転支援を実現するため、インフラ協調による交通環境情報の提供技術の確立を目指すもの。有料道路の実環境下、一般道から料金所支払いを含むETCゲートを通過して本線に合流するまでの区間を自動運転車で走行する実証実験は世界でも例がない。実証実験を通して、高速道路から一般道へ自動運転の領域の拡張を加速させ、より安全で快適な自動運転を実現可能とする走行環境の構築を目指す。

 今後、東京臨海部実証実験は、臨海副都心地域、羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速道路に加え、羽田空港地域にて自動運転技術を活用した次世代公共交通システムなどの実証実験を2020年度末まで実施する予定。また、自動運転に対する社会的受容性の醸成に向け、今年7月に日本自動車工業会と連携しながら、多くの人が自動運転車を体験できる試乗イベントの開催を計画している。

 

SEMI 学生向け半導体の業界研究サイトをオープン

, ,

2020年3月27日

 SEMIジャパンはこのほど、学生向け半導体業界研究サイト「SEMI FREAKS」(https://www.semijapanwfd.org/)をオープンした。

 半導体は、エレクトロニクス機器の中核を担う存在であり、あらゆる産業にイノベーションを生む可能性を秘めている。世界中でその重要性が高まっており、市場は長期的な成長が期待されている。その半導体の製造領域では、日本の装置・材料メーカーは高い競争力を維持し、特に材料では圧倒的な世界シェアを誇る。

 2030年に100兆円超の規模が見込まれている半導体市場では、成長に伴い人材ニーズが高まっており、機械、電気・電子、情報、化学、物理などの幅広い分野で人材が求められている。

 こうした中、SEMIは、業界団体として日本の会員企業約340社とともに、学生への半導体業界の認知度・イメージ向上に重点的に取り組み、その一環として、「SEMI FREAKS」を立ち上げた。

 サイトのコンテンツとして、①半導体の活躍フィールド:モビリティ、XR(VR・AR・MRの総称)、医療、ロボティクス、5G、AIなど注目分野での、サービス・技術と半導体の接点②数字で見る半導体業界:半導体業界の産業規模や使われている技術などを具体的な数字を用いて分かりやすく説明③イラストで分かる半導体製造工程:マスク製造設計から実装・検査まで、半導体の全製造工程をイラストで分かりやすく紹介④ひと目で分かる日本メーカーの世界シェア:日本の材料・製造装置メーカーのシェアを提示、などがあり、今後もコンテンツは追加される予定となっている。

 SEMIは、学生による業界理解の第一歩に向けて、「SEMI FREAKS」を充実させていく考えだ。

 

東京大学 パターニングの電極を半導体に移し取る手法開発

,

2020年3月26日

 東京大学大学院新領域創成科学研究科、同マテリアルイノベーション研究センター、産業技術総合研究所 産総研・東大先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI‐MANA)の共同研究グループはこのほど、洗濯のりにヒントを得て、高精細にパターニングされた電極を有機半導体に取り付ける手法を開発した。

 さまざまな機能性を持つ電子素子を駆動させるためには、電圧や電流を入出力するための電極が必要不可欠。電極は通常金属で、高真空下で大きなエネルギーを用いて成膜されることが多く、電極の設置面へのダメージを抑え、接着力など下地との相性を最適化することも重要な課題だった。

 こうした中、同研究グループは、洗濯のりの成分であるポリビニルアルコールが乾燥すると固まり、水にあうと簡単に溶けることを利用し、基板上で高精細にパターニングされた電極をポリビニルアルコールなどとともに電極フィルムとして引き剥がし、半導体上に移し取る手法を開発。

 さらに、たった一分子層(厚さ四㎚)からなる有機半導体に金属電極を取り付け、半導体の機能を十分利用できることを実証した。取り付け先の制約は極めて少なく、曲面や生体などへの応用も期待できる。

 今回の成果により、さまざまな積層デバイスへの応用が可能となり、将来の産業応用に際し低コスト・フレキシブルエレクトロニクス用のプロセスとしての利用が見込まれる。

 なお、今回の研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」(3月13日版)に掲載された。また、同研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金「単結晶有機半導体中電子伝導の巨大応力歪効果とフレキシブルメカノエレクトロニクス」「有機単結晶半導体を用いたスピントランジスタの実現」の一環として行われた。

 

デンカ コロナウイルスの簡易検査キット開発状況を報告

, , ,

2020年3月26日

 デンカはこのほど、連結子会社であるデンカ生研が、国立感染症研究所と新型コロナウイルス感染症の診断法開発に関する共同研究契約を締結したと発表した。AMED(日本医療研究開発機構)の研究班への参画を通じて必要な抗体と抗原を国立感染症研究所より分与を受け、イムノクロマト法による簡易検査キットの開発を進めている。

 通常、簡易検査キットの製造販売承認取得までには最短で1年半から2年かかるが、同社は開発を早めるために関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援を仰ぎながら、2~3カ月内に試作品を完成させ評価し、体外診断薬の国内薬事承認を取得することを前提に、今後1年以内に最大1日10万検査分の量産体制構築を目指していく。

 さらに、さまざまな医療現場の検査ニーズに応えるために、ELISA法や遺伝子診断法を含め、イムノクロマト法による抗原検出以外の診断方法も同時に検討を進めている。

 同社が昨年9月に、株式を33.4%取得した台湾プレックスバイオ社では、新型コロナウイルスとその他の呼吸器感染症関連ウイルスの有無を同時に測定する検出法を開発中。すでに試作品が完成し、今後台湾で実用化に向けた検証を行うとともに、日本での展開も検討していく考えだ。

 

東大・産総研など 世界最速の有機トランジスタ実現

, ,

2020年3月24日

 東京大学と産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構の共同研究グループはこのほど、有機半導体単結晶の薄膜上で、チャネル長1㎛スケールの微細加工手法を新たに開発した。

 高移動度と短チャネル化を同時に達成したことで、同研究グループが持つこれまでの世界記録を2倍程度更新し、世界最速となる38M㎐の遮断周波数を達成した。また、この有機トランジスタには交流信号を直流信号に変換する整流性があり、100M㎐でもその整流性が失われないことを実証した。

 世界中で有機トランジスタの高速化が進められている中、同研究グループは超短波帯で動作する有機トランジスタの開発に世界で初めて成功した。

 有機半導体は有機溶媒に溶かしたインクから、印刷プロセスにより柔軟性のあるデバイスを作製できることから、次世代半導体材料として期待されている。同研究グループではこれまでに、厚さわずか数分子層(10㎚程度)からなる有機半導体単結晶超薄膜を、大面積で塗布可能な印刷手法を開発している。このような高品質の有機単結晶薄膜では、高い移動度が実現されており、有機トランジスタの高速化に極めて有望だ。

 半導体集積デバイスの応答周波数は、論理演算を担うトランジスタの移動度と、そのチャネル長に依存する。微細加工手法として、フォトレジストを用いたリソグラフィが広く使われているが、多くのフォトレジストは有機半導体薄膜にダメージを与えることが知られており、有機トランジスタでは、リソグラフィによる高移動度と短チャネル化を両立することは困難だった。

 今回、同研究グループは有機半導体単結晶の薄膜上に、フッ素系高分子膜を薄くコーティングすることで、有機半導体でのダメージフリーリソグラフィ手法を新たに開発し、1㎛スケールの微細加工を達成。超短波帯で動作する有機トランジスタの開発に世界で初めて成功した。

 物流管理などに広く用いられている、RFIDタグの通信周波数である13.56M㎐より十分に大きな値であることから、今回作製したデバイスは、無線タグの給電に十分応用可能なレベルに達していると言える。

 さらに、超短波帯はFMラジオ放送やアマチュア無線などの電波として利用されているが、将来、応答周波数がさらに増加することで、超短波帯を利用した長距離無線通信が可能な有機集積回路の実現が期待される。

 また、簡便な印刷プロセスで量産できることから、今後のIoT社会を担う物流管理に用いられる低コストの無線タグや、電磁波から電力を供給する無線給電システムへの幅広い展開が考えられる。

 

日本化学会 トルコで開催される国際化学オリンピック派遣生徒を決定

, ,

2020年3月23日

 日本化学会と「夢化学‐21」委員会はこのほど、トルコ・イスタンブールで開催される「第52回国際化学オリンピック」の日本代表生徒4人を決定した。

 今年1月に一次選抜試験で19人から12人に絞られ、今月の2次選抜合宿で4人が選ばれた。トルコ大会の開催期間は7月6~15日までの10日間で、実験試験・理論試験が行われる。

 国際化学オリンピックは、世界約80の国や地域から選ばれた高校生が集結する化学の祭典。高校などに在学する20歳未満の生徒が対象となっている。

 昨年7月に開催されたフランス大会では、日本代表として高校生4人が参加し、金メダル2個、銀メダル2個を獲得している。

 

NEDO CNF製品開発の即戦力人材を育成、講座開講

, ,

2020年3月19日

 NEDOは、特別講座の一環で、石油由来の素材の代替となる植物由来の新材料として、幅広い分野への活用が期待されるセルロースナノファイバー(CNF)の社会実装を拡大、促進するため、企業でCNFの新製品開発の中核となる即戦力人材を育成することを目的に、人材育成講座を2020年度より開講する。

 講座は、東京大学、京都大学、京都市産業技術研究所、産業技術総合研究所(産総研)を、拠点として実施。内容は、①人材育成講座、②受講者参加の合同ワークショップ、③周辺研究などの実施、となっている。

 受講生は半年間の講義を通じて、CNF関連の各種製造技術や分析・評価技術を体系的に習得するとともに、実習を行うことで、製品開発に必要な各種技術を身につけることができる。

 なお、受講の申し込みはウェブサイトからのみ。産総研の「CNF人材育成講座(2020年度前期)受講生募集」(https://www.aist.go.jp/chugoku/ja/event/2020fy/0401-0930.html)から参加手続きが行える。

 CNFは、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を持つ、軽量・高強度のバイオマス由来の高性能素材。石油由来の代替となる植物由来の新材料として、幅広い分野への活用が期待されている。

 NEDOでは、2013年より「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」プロジェクトを通じ、木質系バイオマスから化学品までの一貫製造プロセスとして、「高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」を推進。

 自動車や家電などへの利用を実現するリグノCNFの一貫製造プロセスを世界に先駆けて開発し、パイロットプラント(京都プロセス)を構築した。また、同時にCNFの安全性評価基盤技術や、効率的に高性能CNFを製造できる原材料評価手法の開発を実施している。

 NEDOは、産業界のニーズに応えるため、最新のCNF関連技術に関して、実践的かつ即戦力となる人材の育成を目指す。