BASF 農作物向けに土壌生分解性プラスチックを提案

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2019年10月16日

 「エコバイオ」、生育向上と環境負荷低減に貢献

 BASFは農作物の生育向上と環境負荷低減のため、認証済みのマルチフィルム用土壌生分解性プラスチック「エコバイオM2351」を提案している。同製品は生分解性コポリエステルのポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)「エコフレックス」と、再生可能原料から製造した他の生分解性ポリマーで構成されている。

 同製品で作ったマルチフィルムは、土壌中の天然に存在する微生物が、代謝可能な食物としてフィルムの構造を認識するため、収穫後に土壌に鋤き込むことができる。また、「エコバイオ」で作ったマルチフィルムは、無マルチ農法と比較して、トマト収穫量を15~50%増加させ、水の消費量を減らし、除草剤を減らしながら雑草を抑制することもできる。

 さらに、真菌病(菌類病)に対する作物の抵抗性が高く、収穫時期が早まるほか、品質が安定し、トマトの糖水比を示すBrix値(糖度)が高くなることも分かっている。

 トマトは加工食品業界向けに世界で最も多く栽培されている野菜である。多くの国の生産者が、ポリエチレン(PE)製のマルチフィルムを使い、雑草・土壌温度・水使用を制御することで、トマトの収穫量を増やしている。

 しかし、PEマルチフィルムの残留物は、微生物によって生分解されず土壌に蓄積される。このため、PEマルチフィルムを収穫後に土壌から除去する必要があるが、薄いフィルムを完全に回収することは通常不可能だ。

 「エコバイオM2351」で作ったフィルムは、手間や労力をかけて回収して産廃処理するのではなく、収穫後に土壌に鋤き込むことができるため、労働力とコスト削減にもつながる。

 「エコバイオM2351」は、EU域内の統一規格「EN規格」に則り、土壌生分解性であると認証された最初の素材である。同製品で作ったマルチフィルムの使用は、多くの国の有機農作物栽培でも認められている。

 国連食糧農業機関によると、2050年に90億人に増加すると予想される世界の人口を養うには、世界の農業生産を70%成長させる必要がある。BASFの担当者は「生分解性マルチフィルムは、土壌を汚染することなく、この課題に貢献できる」と述べている。