出光興産・東レ 有機ELで世界最高の発光効率と寿命を達成

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2019年11月26日

 出光興産と東レは25日、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料と赤色蛍光材料を用いた有機EL素子を開発し、実用化領域に近い、世界最高レベルの発光効率46cd/Aを達成したと発表した。

 出光興産が発光効率と寿命を両立させることができる新規のTADF材料を、東レが従来に比べて発光スペクトル幅の狭い新規の高色純度の赤色蛍光材料を、それぞれ開発することに成功したことによるもの。同技術は有機ELディスプレイの低コスト化や省電力化、広色域化に寄与する。

 有機ELディスプレイは赤色・緑色・青色の発光素子からなり、現在、赤色発光素子には主にリン光発光材料が使用されている。リン光発光材料は、電力を光に100%変換することができ、発光効率を向上させることができるが、素材にレアメタルを使用しているため高コストであり、発光スペクトル幅が広く色純度が低いことも課題。これに対し、近年、TADF材料が注目されている。

 TADF材料を活用した技術は、リン光発光材料と同様に電力を光に100%変換できることに加え、発光スペクトル幅の狭い蛍光材料を組み合わせることで高色純度を達成する特長を持つ。また、素材にレアメタルを使用しないため、材料コスト削減を図ることができる。両社は、2017年の有機EL材料に関する技術提携に関する合意以来、互いが保有する有機EL材料や技術、知見などを活用し、新規材料開発で協力してきた。

 今回、両社で開発したTADF材料を利用した赤色有機EL素子が、現在主流の赤色リン光素子と同等レベルに迫る結果を得たことは、新たな技術の早期実用化に向けた大きな進歩となる。今後は、モバイルやテレビ用途などへの採用を目指し、開発を強力に推進して行く考えだ。なお、今回の成果は、今月27日から札幌コンベンションセンターで開催される「26th International Display Workshops」にて両社で共同発表する予定。