《化学企業トップ年頭所感》出光興産 木藤俊一社長

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2020年1月9日

 今年は昨年11月に公表した、統合新社として初の中期経営計画がスタートする。大きく3点申し上げたい。第1に、国内外の政治・経済動向は、極めて不透明な状況が続くということを覚悟しなければならない。米中貿易摩擦に端を発する世界的な景気減速は、残念ながら長期化すると見ている。

 年初には米国によるイラン司令官の殺害というニュースが飛び込んできた。我々がなすべきことは、中東情勢の緊迫化にしっかりと対応しつつ、景気回復や市況改善などの外的要因に頼らず、目標達成に向けて、コスト削減など自力でできることはすべて行うということだ。中期経営計画の発射台となる2019年度を含め、あらゆる角度から業務を分析し、目標達成に向けて最善を尽くしていく。

 第2に、中期経営計画の重点方針で掲げた、成長事業の加速や次世代事業の創出、デジタル変革の推進を具体的に進める。すでに、Next事業室やデジタル変革室など、いくつかの新しい組織を立ち上げた。

 これらの部署はコーポレート部門として社外と接点を持ちつつ、社内横断的な活動を展開していくが、次世代事業やデジタル変革への挑戦は、一部の専門部署だけのものではなく、当社グループ全体で取り組み、すべての部署が直接的・間接的に関わっていくものだ。

 私はすべての事業、すべての部室、すべての従業員が主役であり、脇役はないと思っている。当社グループ内のあちらこちらに、自然発生的に新しい挑戦が始まることを大いに期待している。

 第3は、経営層と社員の直接対話の充実だ。昨年12月から本社地区で、中期経営計画を基に社員との意見交換会をスタートさせた。今後は各地で開催していく。

 2020年度内には、本社機能を新しい本社ビルに集約し、システムを含めた業務プロセスの統一と刷新も図る。業務プロセスやシステムだけでなく、オフィス空間のありたい姿についても検討し、今後本社だけでなく、各オフィスにも展開して、働き方改革の一助としていく予定だ。

 統合2年目となる今年は、助走期間も終わり、真の意味での統合を成し遂げていかなければならない。何を変え、何を変えないか、皆で喧々囂々、侃々諤々の議論をし、次の企業体に進化していく。