《化学企業トップ年頭所感》積水化学工業 髙下貞二社長

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2020年1月10日

 2020年は、まさしく積水化学グループにとって節目の年になる。現中期経営計画「SHIFT2019‐Fusion‐」の最終年度であり、新たに10年先の未来に向け飛躍を描く長期ビジョンと、その第1歩としての3年間の新中計をスタートし、実行に移す年となる。

 まずは現中計の残り3カ月をグループ一丸となって、団結力と総合力で、3カンパニーとメディカルの全セグメント増益を達成し、初の営業利益1千億円突破と、各段階利益で最高益更新をやり遂げたい。

 昨年は、グローバル経済は米中貿易摩擦に翻弄され、国内では消費増税や相次ぐ甚大な自然災害など、経営環境は極めて厳しい風が吹き続けた。そのような環境下、当社グループはESGを経営のど真ん中に据え、新次元の成長を目指し成長路線へのシフトに取り組んできた。

 M&Aや増産といった戦略投資など成長投資は着実に実施、また新製品・新事業も融合により売上増分を創出し、新次元の成長に向けた量的成長=トップライン成長へのシフト=は実現できたと思っている。

 一方で、質的転換に向けては収益性改善のスピードに課題を残した。エレクトロニクスや車輌分野の需要変化に備える構造改革の前倒しや、また、投資効果の早期発現とさらなる構造改革の加速が必要だと認識している。

 これから10年、新しい時代には、「不都合な真実」が今まで以上に顕在化してくるだろう。地球温暖化、グローバル化の後退、自国主義、超高齢社会、労働人口減少、人手不足、インフラ老朽化、相次ぐ災害、安全・安心・健康へのニーズと、社会課題は山積みだ。これらの不確実性とリスクの中で、社会からは課題を解決し、繁栄をもたらす事業が求められている。

 その要請に真正面から取り組み、社会課題解決に貢献する製品・技術・サービスをイノベーションで創出していくことにより、将来にわたり企業の競争力を強め、社会になくてはならない存在感のある企業になることができる。次期中計では、この力をさらに磨き上げる打ち手を講じていく。

 私はESG経営に積水化学グループの未来がかかっていると思っている。足元の実績を一歩一歩着実に積み重ねるリアリズムを持ちつつ、未来と現実のバランスをもって取り組みを進めていく。

 ESG経営で実現したいのは、社会にとって、真に価値ある企業グループであり、私たちの事業が成長すればするほど社会がより持続可能になる未来だ。この目標に向かい、皆様と共に前進していきたい。