信越化学工業の2020年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比3%減の1兆1740億円、営業利益は同2%減の3187億円、経常利益は同微増の3302億円、四半期純利益は同2%増の2468億円となった。
セグメント別では、塩ビ・化成品事業は売上高が同7%減の3728億円、営業利益は同15%減の772億円。米国のシンテック社は塩化ビニル・カセイソーダともに高水準の出荷を継続したが、市況の影響を受けた。欧州拠点も市況の影響を受けたものの、底堅い出荷を継続した。国内拠点は堅調に推移した。
シリコン事業は売上高が同1%減の1721億円、営業利益は同3%増の470億円。機能製品を中心に拡販を進めたが、汎用製品の価格下落の影響を受けた。機能性化学品は売上高が同5%減の874億円、営業利益は同2%増の213億円。セルロース誘導体は医薬用製品が底堅く推移したが、建材用製品は一部顧客での販売が振るわなかった。フェロモン製品は堅調な出荷。ポバール製品は市況の影響を受けた。
半導体シリコン事業は売上高が同4%増の2958億円、営業利益は同8%増の1121億円。半導体デバイス市場の調整局面の中、価格と出荷水準の維持に努めた。
電子・機能材料事業は売上高が同3%減の1679億円、営業利益は同2%減の514億円。希土類磁石は産業機器向けが引き続き需要鈍化の影響を受けた。自動車向けも期後半から減速感が見られたが、環境対応車向けを中心に堅調な出荷を維持した。
フォトレジスト製品はArFレジストやEUVレジストなど総じて好調に推移した。マスクブランクスは先端品を中心に販売を伸ばし好調。光ファイバー用プリフォームは、市況悪化の影響を受けて厳しい状況となった。
加工・商事・技術サービス事業は売上高が同6%減の778億円、営業利益は同5%増の110億円。信越ポリマーの半導体ウエハー関連容器が、半導体デバイス市場関連投資の減速の影響を受けた。
通期の連結業績予想は修正がなく、売上高が前期比3%減の1兆5500億円、営業利益は同微増の4050億円、経常利益は同1%増の4180億円、純利益は同2%増の3140億円を見込んでいる。