ダイセルは8日、第4次となる長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」と、それに基づく新中期戦略「Accelerate 2025」を策定したと発表した。
長期ビジョンでは、基本理念の下にサステナブル経営方針を設置。目指すこととして、社会と人々の幸せに貢献(サステナブルプロダクト)、地球や人にやさしい方法で実現(サステナブルプロセス)、働く人がやりがいを実感(サステナブルピープル)、を掲げた。
4つのトリガーとして、健康(ヘルスケア)、安全・安心(セイフティ)、便利・快適(スマート)、環境を設定し、その下の重点市場に注力する。
成長&加速戦略では、オペレーションを3段階で表現。Operation‐Ⅰ(OP-Ⅰ)の「原ダイセル」では、現状の事業に加え注力するドメインを含めた領域で、事業構造の転換とアセットライト化を図る。OP‐Ⅱの「新ダイセル」では、事業の再編と既存JVの抜本的見直し、アセットスーパーライト化を図る。OP‐Ⅲの「新企業集団」では、垂直統合型のサプライチェーンに水平方向の統合を視野に入れたクロスバリューチェーンを構築していく方針だ。
一方、長期ビジョンを踏まえた新中期戦略では、原ダイセル、新ダイセルの実行と新企業集団の実行準備を同時に進めるフェーズとして位置づける。全社戦略として、クロスバリューチェーン実現に向けた取り組みを推進。新企業集団を見据え、組織変更に対し柔軟に組み替え可能なデジタルアーキテクチャを構築。複数の事業を自在に組み合わせて架空の会社(バーチャルカンパニー)を形成し、PL、BSをリアルタイムに把握し、アセットライト化と収益力を強化する。
また、ポートフォリオマネジメントでは、従来の68事業を33事業に集約。これまでの素材提供型から、技術・製品・テクニカルサービスを生かし価値提供型事業へのシフトを目指し、各事業を次世代育成、成長けん引、改革事業、基盤事業に分類した。
また、事業戦略では、4つのトリガー市場に注力。ヘルスケアSBU、メディカルSBU、スマートSBU、セイフティSBU、マテリアルSBU、エンジニアリングプラスチックセグメントで、それぞれありたい姿に向けた方策に取り組み、価値提供を加速する。機能別戦略では、事業創出力として、R(研究)でシーズを掘り起し、D(開発)で事業化力を磨き、さらにProactive IP(技術・知財)で事業を強くしていく。
プロダクションでは、現場の力を結集し、バーチャルカンパニーでパートナーに価値を提供する。さらに、デジタルトランスフォーメンションや人事改革にも取り組む考えだ。これらの戦略により、2025年の経営目標としてROIC10%、EBITDA1000億円超、営業利益は最高益更新を掲げた。
同社は、この新ビジョンと新戦略を新たな指針とし、国際社会や地球環境をめぐる諸問題、AIやIoTの活用による急速な技術の進歩、さらには、今回の世界的なウイルス感染症によっても大きく変化する社会情勢に柔軟に対応し、事業活動を通じて、持続可能な社会の実現と企業グループの成長の両立を図っていく考えだ。