出光興産はこのほど、千葉事業所(千葉県市原市)にある重油直接脱硫装置(RH装置)の効率化改造工事を実施し、5月26日から稼働を開始した。この装置効率化により、千葉事業所のHS(高硫黄)C重油生産量を年間60万kl削減すると同時に、LS(低硫黄)C重油を年間50万kl増産することが可能となる。
今回のRH装置の効率化改造工事は、国際海事機関(IMO)が定める船舶用燃料の硫黄分規制への早期対応を図るもの。IMOは、今年1月からSOx(硫黄酸化物)排出規制を強化しており、世界的に高硫黄船舶用燃料を低硫黄化する取り組みが活発化。石油精製過程で余剰となるHSC重油への対応が必要となっている。
なお、同社は、増産されるLSC重油の供給余力を活用した競争力強化を図るため、流動接触分解装置(FCC装置)での重油分解能力向上(RFCC化)も実施する予定。また、今回の効率化改造工事は、経済産業省の補助事業「石油供給構造高度化事業費補助金(石油コンビナートの生産性向上及び強じん化推進事業のうち石油コンビナートの立地基盤整備支援事業)に係る補助事業」を活用し実施した。
出光興産は今後も、IMOが定める船舶用燃料の硫黄分規制への取り組みにより、地球環境負荷低減に努めるとともに、引き続き燃料油事業での競争力強化と石油製品の安定供給に努めていく。