昭和電工は13日、日本接着学会より「2020年度第42回日本接着学会技術賞」を受賞したと発表した。同社の「イソシアネートモノマーと粘接着・塗料分野の応用」が、粘接着剤・塗料業界に対する樹脂のデザイン・機能の向上を実現し、業界に貢献したことが評価された。
受賞対象であるイソシアネートモノマー「カレンズ」は、各種の物質と容易に結合するイソシアネート基と、共重合や光・熱硬化が可能なアクリル基を同一分子内に持つ同社独自の製品。ポリマーに添加・反応させると短時間かつ効率よく光硬化性を付与できる機能と、アクリル共重合体のモノマーに用いると低温でイソシアネート硬化を可能にする機能を備える。
「カレンズ」は、粘接着用途では粘度上昇や副生物の生成なく簡便に合成でき、光硬化性も高いため近年のUV‐LED化に合致した製品開発が可能。また塗料分野では、簡便にイソシアネート基を樹脂構造中に挿入できるため、低温で硬化でき省エネルギー化に貢献できるほか、低温硬化型イソシアネートブロック体も合成できる。塗料の水系化・高機能化のトレンドにも合致し、機能性高分子分野のキーマテリアルとして幅広く採用されている。
同社グループは、「個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)」を実現し、「世界トップレベルの機能性化学メーカー」となることを目標としている。今後も独特な化学構造と機能を持つ「カレンズ」シリーズの安定供給体制と提案力強化により、顧客の開発サポートを通じて事業を拡大し、個性派事業の確立を目指す考えだ。