WTI価格、約10カ月ぶりに終値50ドル台回復

2021年1月8日

サウジが大幅減産を表明、原油市場の安定化図る

 世界の原油相場では、サウジアラビアが2~3月に日量100万バレルの減産を表明したことで大きく反発。WTIは6日の終値は50.63ドルと約10カ月ぶりとなる50ドル台を回復し、その後も上値を追う展開が続いている。

 昨年は、新型コロナウイルスの影響が世界中に拡大する中、OPECプラスによる協調減産の枠組みが崩れたことにより3月中旬以降に原油価格が暴落。WTIは売りが殺到し一時マイナスを記録するなど大混乱な状況に陥った。その後、協調減産が再開されたことや、各国の経済活動が再開され原油需要が戻ってきたこともあり、原油相場は緩やかな回復基調を継続。昨年12月に開催されたOPECプラスの総会では、1月から予定されていた協調減産の縮小幅を見直したことで、WTI価格は50ドル近くまで上昇した。

 一方、新型コロナウイルスは、各国でワクチンの承認が進むものの、変異種が発見されるなど再び感染リスクが拡大。欧米ではロックダウンの動きも見られたことを受け、原油価格は上値が重い状況となっている。

 こうした中、先日行われたOPECプラスの会合では、増産を優先するロシアなどと価格維持をしたいサウジなどとの間で協議が難航したものの、5日には1月の減産幅(日量720万バレル)を2~3月も維持することを決定。ロシアとUAEは増産が認められたことで、減産幅は2月に712万5000バレル、3月に705万バレルとなったが、その後サウジが大幅減産を表明したことで、減産幅はそれぞれ100万バレル上乗せされる。これに相場が反応し、WTI価格が押し上げられている状況だ。

 今回、サウジは、協調減産に加え自主減産を行うことで原油市場の安定化を図った。とはいえ、世界的にコロナ禍の収束が未だ見えない中、中東情勢や米中対立といった不安要素も山積している。これらの要因で原油価格が変調する可能性もあり、今後の市場動向が注目される。