BASF 循環型経済の新プログラムを発表、解決策提示

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2021年1月14日

 BASFはこのほど、第1回デジタルリサーチプレスカンファレンスで新しい循環型経済プログラムを発表した。2030年までに関連するソリューションの売上高を倍増させ、170億ユーロを目指す。「循環型原料」「材料の新しい循環」「新しいビジネスモデル」の3つの分野に注力。「廃棄物の減少」「製品の再利用」「資源の回収」を目的に、2025年に年間25万tの化石原料をリサイクル・廃棄物ベースの原材料へ置き換える。

 会長兼CTOのM・ブルーダーミュラー氏は「循環型経済に向けたソリューションを提供できる企業は決定的な競争力をもつ。道は厳しく多大な努力が必要だが、コミットメントと創造性をもって取り組み、革新的な強さを見せられる」と述べている。

 カンファレンスでは材料リサイクル(MR)、ケミカルリサイクル(CR)、再生可能資源の例を発表した。「バッテリーのリサイクル」では、2030年には150万t以上のバッテリーと、各材料と前駆体の製造工程廃棄物の処理が必要になる。含有される希少金属は化学的に回収でき、採掘に比べてCO2排出量を25%以上削減できるが、低収率・高エネルギー消費の上、大量の塩廃棄物を発生するため、新プロセスを開発中だ。

 「MR」でリサイクルされるのは、年間約2.5億tのプラ廃棄物の約20%だ。廃プラを破砕・溶融して再資源・製品化するが、繰り返し使用・加工すると品質が劣化する。また、互いに相溶しないプラスチックを混合すると品質が低下するため、相溶化剤など品質の安定・改善のための添加剤を開発している。「CR」では熱化学プロセスで熱分解油に変換し、新製品の原料にする。汚れたプラ廃棄物でもリサイクルでき、従来品と同品質の製品ができる。

 同社は2018年に「ChemCycling」プロジェクトを立ち上げ、プラ廃棄物組成によらず高純度の熱分解油を生成する触媒の開発を進め、第一世代の触媒が工場で使用されている。

 「再生可能な原材料」の例は、植物の未利用部分から化粧品の有効成分を抽出する「ランブータンプログラム」だ。ライチの近縁種ランブータンの葉の水性抽出物がヒト皮膚遺伝子を活性化し、コラーゲン産生を促進することを発見。果皮や種に含まれる有効成分には肌の潤いを高め、毛根を活性化する効果もある。ベトナムの現地パートナーと共に社会的・環境的に責任が取れるサプライチェーンを構築し、消費者だけでなく労働者や地域環境にも利益貢献している。内容の詳細と、同社の循環型経済への取り組みは、ウェブで公開中だ。