東海カーボンは10日、2020年12月期(1-12月期)連結決算の電話会見を行った。売上高は前年同期比23%減の2015億円、営業利益86%減の79億円、経常利益88%減の63億円、純利益97%減の10億円となった。主力の黒鉛電極とカーボンブラック事業の対面業界である鉄鋼とタイヤ産業の大幅需要減が要因だが、米国タイヤ需要回復などで第3四半期以降大きく反転した。佐藤昭彦財務経理部長は「コロナ禍でも中計の基本方針にのっとり、フランスの炭素黒鉛製品メーカーの買収(現TCS)など戦略的投資を実行した。先のドイツTCX社との統合は順調に進み、取得関連費用を差し引いても新セグメントで利益を出した」と述べた。
セグメント別に見ると、黒鉛電極事業は減収損失。鉄鋼生産は前半の落ち込みを中国の大幅回復で持ち直したが、顧客の在庫調整で販売量は昨年割れとなった。市況の悪化による評価損で減益となった。
カーボンブラック事業は減収減益。タイヤや自動車部品メーカーの生産活動は後半から回復基調だが販売量は減少した。価格下落と生産調整による原価率上昇などで減益だった。
ファインカーボン事業は増収増益。一般産業用途向けは顧客の生産調整で減少したが、半導体、太陽光発電市場向けは堅調で、ソリッドSiC製品はおう盛な需要で出荷が伸びた。
精錬ライニング事業は増収増益。連結子会社化したドイツとフランスの炭素黒鉛製品メーカーを統合した新セグメントで、アルミ精錬用カソード、高炉用ブロック、炭素電極を扱う。主力のカソードは、アルミ市場価格が後半上昇し、一部顧客向け出荷が伸びた。高炉ライニング用のブロックは、中国のおう盛な需要で出荷は高水準になった。
工業炉関連事業は増収増益。工業炉は情報技術関連業界向け設備投資が堅調で伸びるも、発熱体などの製品は電子部品業界向けと中国のガラス業界向けの需要減で減収だった。
その他事業は減収増益。摩擦材は四輪市販向け市場からの撤退、建設用・農業用機械、二輪向け市場の停滞で、中国の建機向け増販はあったものの減収した。負極材は新興勢の台頭で競争激化したが、欧州などの環境車の需要増で増収した。
2021年12月期は、売上高2279億円(前期比13%増)、営業利益181億円(130%増)、経常利益169億円(170%増)、純利益89億円(773%増)の見通しだ。なお、ローリング方式の中期経営計画はコロナ禍の影響を見極めた後、5月発表を予定しており、今回は概要説明にとどめた。