LG化学 CNT生産1200t増能で市場進出を加速

, , ,

2021年5月28日

 LG化学はこのほど、麗水CNT第2工場が操業開始し合計1700tの生産能力を確保したと発表した。韓国内1位の生産能力で、世界最大の単一生産ラインだ。

 CNT(カーボンナノチューブ)は銅やダイヤモンドと同等の電気・熱伝導性、鋼の100倍の強度をもち、耐熱性にも優れた新世代の素材。電池、半導体、自動車部品、表面発熱体などへの応用範囲は広い。昨年の世界需要は5000tで、2024年には2万tへと年率40%で爆発的に増加するとの予測だ。

 同プラントは、独自開発の流動床反応装置を備え、完全自動化による安定した品質管理とプロセス革新を実現し、消費電力も従来比30%削減している。原料・生産技術・製造プロセス・製品を垂直統合することで、効率性を最大化し競争力のある製品を生産している。

 独自のコバルト系触媒は、バッテリー品質に影響する金属や磁気汚染物質の含有量が鉄系触媒より少なく、後処理プロセスは不要だ。また製品を錠剤形状にすることで、輸送中に空気中に分散したり壊れたりするといった既存の粉末やペレット製品の課題を解決した。

 生産したCNTは、電気自動車用バッテリーの世界市場をリードするLGエネルギーソリューションなどのバッテリー会社に導電性添加剤として供給し、幅広い産業に応用される予定だ。

 LG化学は半導体プロセス用トレーや自動車用外装静電塗装などの導電性化合物や、表面発熱体、半導体高圧電線、高強度コンクリートなどの新規用途に積極的に販売を拡大していく考えだ。3番目の工場を今年立ち上げるなど今後も生産能力を拡大し、競争力のある品質を実現することで、世界市場のリーダーを目指している。