BASFはこのほど、ドイツ・シュヴァルツハイデにある正極材工場の敷地内に電池リサイクル試作工場を新設すると発表した。電池リサイクルは、電気自動車市場でのCO2排出量削減に重要な要件で、EU電池規則案で想定されるニッケル、コバルト、リチウムのリサイクル効率や材料回収目標など、より厳しい政策措置へ対応するもの。
同工場では、使用済みリチウムイオン電池と、セルメーカーや電池材料メーカーの規格外材料からリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを効果的に回収するための運用方法を開発し、その技術を最適化する。正極材に必要な金属を、リサイクルによって競争力高く持続的に入手・再使用することで、電池バリューチェーンのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を実現。正極材のカーボンフットプリントを業界標準の最大60%まで削減し、自動車メーカーのニーズに応え、より持続可能な未来の構築に貢献する。
今回の投資は、欧州委員会が進める欧州の電池生産バリューチェーンに向けたアジェンダへの同社の支持を強化するもので、EU国家補助規制に基づいて欧州委員会が承認した「欧州共通利益重要プロジェクト(IPCEI))」の一環でもある。同工場からの革新的な電池材料の発売、次世代電池材料の研究開発と電池リサイクルを含むプロセス開発に対して、ドイツ連邦経済エネルギー省とブランデンブルク州経済労働エネルギー省が「IPCEI for Batteries」の一環として資金提供を行う。工場の稼働は2023年初頭の予定だ。