JSRの4-6月期 全セグメントが販売拡大で増収増益

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2021年8月3日

 JSRは2日、2022年3月期第1四半期(4-6月期)連結業績を発表した。売上収益は前年同期比22%増の823億円、コア営業利益57%増の126億円、営業利益39%増の111億円、純利益7・2倍の82億円となった。なお、ENEOSへの譲渡を発表したエラストマー事業については、当期から非継続事業に分類しており、純利益のみに計上している。

 同日開催されたオンライン決算会見の中で、宮崎秀樹取締役常務執行役員は、「各事業セグメントが良好な事業環境の下、好調な実績となった。第1四半期のコア営業利益・純利益とも計画に対し高い進捗率となっている」と総括した。

 セグメント別に見ると、デジタルソリューション事業部門は増収増益。好調な半導体市場を背景とした販売拡大により売上収益、利益とも対前年比で大幅に伸長し、高いマージンを確保した。半導体材料事業は年率9%超の売上成長を達成。既存製品に加え、新規EUVレジストも販売を拡大した。

 ライフサイエンス事業部門は増収増益。年率30%の売上成長を達成した。主にCDMO事業、CRO事業およびバイオプロセス材料の販売が拡大している。

 合成樹脂事業部門は増収増益。昨年度、コロナ禍で低迷していた自動車生産の回復を背景に、販売数量を大きく伸ばした。売上収益は前年同期を上回り、それに伴いコア営業利益も前年同期を上回った。

 エラストマー事業については、5月11日にENEOSへの事業譲渡および錦湖ポリケムの売却を発表。併せて早期優遇退職制度を含め構造改革も継続し、また自動車やタイヤ市場の回復もあり業績は順調に推移した。

 通期業績予想については前回発表した数値を据え置いている。宮崎常務は「業績予想の見直しは行っていないが、全体的に好調な事業環境は第2四半期(7-9月期)以降も継続すると見ている」とし、「特にLS事業は高い成長を見込む。第1四半期のCDMOのパイプラインは対前年で20%増加した。来期の大幅増産に向けた立ち上げも進めており、来期に向けても高い成長を継続する」との見通しを示した。