東洋紡は、自動車エアバッグ用の原糸と基布を12月1日出荷分から値上げする、と発表した。改定幅は、「現行価格から15~20%」の値上げ。中国市場向けは「現行価格から15~30%」の上げ幅となる。
対象製品の主原料のナイロン66は、産業用繊維や自動車部品用途で需要が伸長する一方、ナイロン66樹脂や原料は2月の北米寒波影響などによる供給不足から、原料価格が高騰。また、エアバッグ用基布のコート剤として使用するシリコーン樹脂は、原料の金属シリコンの生産が主要生産地の中国で電力不足により大幅に落ち込んでいることなどを背景に、シリコーン樹脂の需給はひっ迫し価格も大幅に上昇している。加えて、原油・天然ガス価格急騰による製造コスト、米中を中心とする景気回復に伴う人件費、コンテナ輸送などの物流費も上昇を続ける。
こうしたコスト上昇は、自助努力の範囲を大きく超えていることから、同社は今後も安定した生産、販売、開発体制を維持するために値上げを決めた。