2020年に急落した油価は産油国の協調減産の再開や新型コロナウィルスのワクチン普及などを背景に、一時バレル当たり80ドルを超える展開となり、天然ガス価格についてもアジアや欧州の堅調なエネルギー需要に支えられ高騰した。また、昨年10月に開催されたCOP26では、「1.5℃目標」に向かって世界が努力することが正式に合意されるなど、脱炭素化の流れが加速する年となった。
当社は昨年から、基盤事業としての石油・天然ガス開発事業と、成長事業としての環境対応事業を二つの軸とした「二軸経営」を推進している。
石油・天然ガス開発事業では、オペレータープロジェクトであるベトナム、マレーシアにおいて安定的な生産を継続し、LNGプロジェクトでは、タングー第3トレインプロジェクトの開発作業がコロナの影響を受けながらも進捗した。さらに、ポートフォリオ戦略の一環としてUK事業の売却を決断した。
環境対応事業については、昨年4月にサステナブル事業推進部を立ち上げて体制を強化し、オーストラリアでは洋上CO2回収貯留ハブ・プロジェクト「deepC Store」共同スタディーへの参画を決定した。加えて、マレーシア高酸性ガス田CCSプロジェクトのスタディーやゼロカーボン発電や水素・アンモニア分野では独自の技術をもつエイトリバース社への出資を実現した。
サステナブル社会の実現を目指し、当社はすでに、急速に変化する事業環境に対応するため動き出している。脱炭素化の波は脅威ではなく、新たな競争優位性を生み出す機会でもある。この機会を捉えて、当社は強みであるCCS/CCUS技術をさらに深化させ、早期に事業に活用することで社会に貢献していきたい。
当社は、世界が注目する以前から、CCS/CCUS技術を他社に先駆けてビジネスとして実証し、実績を積み上げてきたフロントランナーだ。今後も社会的価値を提供することでサステナブル社会の実現をリードしていく。