トクヤマの3月期 原燃料などコスト増加が響き減益に

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2022年5月9日

 トクヤマは28日、2022年3月期の連結業績を発表した。売上高(収益認識基準適用)は前年比3%減の2938億円、営業利益21%減の245億円、経常利益16%減の259億円、純利益14%増の280億円となった。

 オンラインの決算会見で横田浩社長は、「半導体関連製品・ヘルスケア関連製品などの堅調な販売や、石化製品の販売価格上昇などにより実質増収となったが、原燃料価格や物流費などのコスト増により減益となった」と総括した。

 セグメント別に見ると、化成品セグメントは増収増益。塩ビモノマーは輸出価格の上昇、塩ビ樹脂は国内販売価格修正が進み、それぞれ増益となった。それに対し、カセイソーダ、ソーダ灰、塩化カルシウムは、原燃料価格の上昇で製造コストが増加し減益だった。

 セメントセグメントは減収・営業損失。出荷は前期並みだったものの、原料価格の上昇で製造コストが増加し損益が悪化した。昨秋発表したセメントの値上げがまだ完全に浸透していない。電子材料セグメントは増収増益。半導体関連の旺盛な需要により、多結晶シリコン、ICケミカル、乾式シリカ、放熱材などの販売数量は堅調だった。ただICケミカルは主力製品である高純度IPAがナフサ高騰の影響を受けたことで減益となり、放熱材は先進技術事業化センターの研究開発費の増加により前期並みだった。

 ライフサイエンスセグメントは増収増益。歯科器材、メガネ材料は海外向け出荷が増加した。横田社長は「歯科材料は輸出の半分が欧州市場向けであり、ロシアもウエイトが高い。ウクライナ問題の影響で2022年度は出荷の伸びが抑制される」との懸念を示した。医薬品原薬・中間体は、ジェネリック医薬品向けに販売が堅調だった。

 環境事業セグメントは増収・営業損失。イオン交換膜や廃石膏ボードは売り上げが増加したが、樹脂サッシは原料価格上昇の影響を受けた。

 2022年度の通期業績予想については、売上高23%増の3600億円、営業利益0.2%減の245億円を見込む。横田社長は「売上増となるが、さらなる原燃料コストの上昇により、営業利益は前期並みを想定している。価格修正やコスト削減などの施策を進め、収益確保に努める」と強調した。