NEDO 小細孔ゼオライトの組成チューニング法開発

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2022年6月28日

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)はこのほど、東京大学が、自動車用排ガス触媒などに利用される小細孔ゼオライトの新しい組成チューニング法を開発したと発表した。

 カーボンニュートラルの流れから、合成燃料(e‐fuel)やバイオマス燃料が注目されている。しかし、これらの燃料を用いたエンジンでも、排ガス中に含まれる有害な窒素酸化物は酸性雨や窒素循環の乱れなどの原因となり、特にディーゼルエンジンは対策が急務となっている。

 さらにエンジンの燃費向上と窒素酸化物の排出削減はトレードオフになるというジレンマがあり、将来エンジンの運転条件の改善により燃費が向上すると、排ガス処理技術に対する要求も格段に高くなることが想定される。このため、窒素酸化物を無害な窒素に分解するための触媒が必要であり、小細孔ゼオライトが注目されている。しかし、自動車用排ガス触媒は長期間にわたって利用されるため、高い耐久性が課題となっていた。

 こうした中、東大はNEDOのムーンショット型研究開発事業において、小細孔ゼオライトの新たな組成チューニング法を開発。細孔を拡大させながら物質を移動させたり、細孔内に取り込まれた有機分子によって構造の崩壊を防いだりすることで、耐久性の向上を実現した。同手法により、組成を改善したゼオライトは、特に排ガスなどに含まれる有害な窒素酸化物を浄化する自動車用排ガスと触媒としての利用への応用のほか、今後の社会実装により、窒素酸化物由来の環境問題の解決やほかの材料への展開が期待できる。