東洋紡はこのほど、バリア性能に優れた透明蒸着フィルム「エコシアール」シリーズで初となる、オレフィン系素材を使用した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「エコシアールVP001」を開発した。今年末からサンプルを出荷し、来年度(2023年度)上期中の販売開始を予定する。生産は犬山工場(愛知県犬山市)で行う。
新製品は、同社が新たに開発した専用の高耐熱OPPフィルムに独自の蒸着加工を施した包装用ハイバリアフィルム。酸素ガスや水蒸気に対する高いバリア性能をもち、食品の鮮度維持や消費・賞味期限の延長など、食品ロス低減に貢献する。さらに、これまでOPPフィルムでは困難とされてきた高い耐熱性とバリア性の両立を実現。今後は熱殺菌処理を必要とする用途での、他素材フィルムからの置き換えを促進し、オレフィン系素材のみで構成されるモノマテリアル(単一素材構成)の包装材の実現に向けた提案を進めていく。売上目標は非開示としているが、同社では「エコシアールVP001」による大きな置き換え需要を見込んでおり、「循環型経済に限りなく貢献できるように対応していきたい」(広報)考えだ。
東洋紡はこれまでも、モノマテリアル化に適した製品として、ポリプロピレン素材では乾物用途向けのバリアOPPフィルム「DP065」(犬山工場)を、ポリエステル素材ではヒートシール性をもつ「オリエステル」(敦賀事業所〈福井県敦賀市〉、犬山工場)を展開している。引き続き環境に配慮した高機能なフィルム製品のラインアップを拡充し、循環型経済の実現に貢献していく。