出光興産はこのほど、現地子会社を通じて権益を保有する豪州エンシャム石炭鉱山(クイーンズランド州)について、全権益(85%)を豪Sungela Ptyに譲渡することに合意したと発表した。今後は譲渡環境に向け具体的な手続きを進めていく。
出光興産は、2030年ビジョンとして「責任ある変革者」を掲げ、来年度から始動する新中計では2050年ビジョンとして「変革をカタチに」を新たに設定。化石燃料資産の圧縮・既存事業の収益最大化による資本効率化とカーボンニュートラルに資する新規事業の拡大により事業ポートフォリオ転換を進め、サステナブルな成長を目指している。
石炭事業の構造改革では、①競争力の高いボガブライ鉱山の活用による安定供給の継続と収益の最大化、②インドネシアのマリナウ鉱山(昨年3月売却済み)および豪州エンシャム鉱山の売却、③既存の事業基盤を活用した新規事業の展開(鉱山跡地を活用した再生可能エネルギー、石炭採掘技術を生かしたレアメタル開発など)に取り組んでおり、その一環として今回、エンシャム鉱山の売却を決定した。豪州では、昨年12月にマッセルブルック鉱山が終掘しており、エンシャム鉱山の譲渡により権益を保有する同国の石炭鉱山はボガブライ鉱山のみとなる。
同社は今後、ボガブライ鉱山の操業を通じてエネルギーの安定供給の使命を果たしながら、長年培ってきた経営資源を最大限活用し、将来の需要伸長が見込まれる再エネ、レアメタル、水素・アンモニアなどの新規事業への移行を推進していく。
なお、譲渡価格は、一時金3億4千万豪ドルおよび2023~2024年にエンシャム鉱山から販売される石炭の価格・数量に応じた条件付き事後払いで構成。最終的な譲渡価格が変動するものの、連結業績への影響は軽微としている。