出光興産の3月期 原油価格下落で在庫評価が減少し減益

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2023年5月10日

 出光興産は9日、2023年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年比41%増の9兆4563億円、営業利益35%減の2824億円、経常利益30%減の3215億円、純利益9%減の2536億円となった。

 同日開催された決算会見で、尾沼温隆執行役員・経理財務部長は「セグメント利益(営業利益+持分法投資損益)は、原油価格が下落基調となった影響で在庫評価益が減少し大幅な減益となった。一方、在庫影響を除く利益は、歴史的な石炭市況の高騰により増益となった」と総括した。

 セグメント別に見ると、燃料油セグメントは増収減益。主燃料販売数量はコロナ禍の行動制限緩和などにより前年を上回った。油価下落に伴うタイムラグや連産品マージンの悪化、自家燃コスト増加などにより減益となった。シンガポール製品マージンの拡大により輸出採算が改善し一部相殺された。ベトナム・ニソン製油所については「アジアの石油製品のマージンが回復したことで黒字を確保したが、金融費用負担増で最終損失となった。今年度も金融費用の負担増に加え、定修を予定しており収益は悪化する」としたが、「今回の定修で設備改善を図り、歩留まり向上などで2025年度に黒字化を目指す」と示唆した。

 基礎化学品セグメントは増収増益。パラキシレンとミックスキシレンは需給タイト化により製品マージンが改善した。高機能材セグメントは増収減益。機能化学品は一部製品のスプレッド縮小により減益。電子材料はスマホやテレビのパネル需要減少などに伴う減販で減益。アスファルトは原料となる重油留分の価格低下などで増益となった。

 電力・再生可能エネルギーセグメントは増収増益。電力事業は自社電源での供給・販売を基本とした取り組みの進展、および一過性の電力小売価格の改善も寄与し増益。ソーラー事業はパネル販売減少も構造改革に伴うコスト低減などが寄与し、セグメント全体で黒字化を達成した。資源セグメントは増収増益。石油開発事業は減益となったが、石炭事業は石炭市況高騰および為替要因で大幅増益となった。

 2024年3月期の通期業績予想については、売上高12%減の8兆3000億円、営業利益50%減の1400億円、セグメント利益50%減の1550億円を見込む。尾沼執行役員は「先行きは不透明だが、在庫影響を除く利益水準は中計目標を上回る見通しだ。ただ、昨年度の石炭市況高騰の反動などにより、前年比では減益となる」と語った。