出光興産は13日、2024年3月期第3四半期(4―12月期)連結決算を発表した。売上高は前年同期比11%減の6兆4023億円、営業利益2%減の2937億円、経常利益3%減の3273億円、純利益4%減の2391億円となった。なお、セグメント利益(営業+持分損益)は5%減の3073億円だった。
尾沼温隆執行役員経理財務部長は「在庫影響を除くセグメント利益は、石炭事業における生産鉱山規模縮小や、前年度の石炭市況高騰の反動などによるマイナスを、燃料油事業のタイムラグなどのプラスが上回り増益となった」と総括した。ニソン製油所については「金融費用の増加を主要因として2023年度は赤字を見込む。営業利益は通期で黒字を確保できる。定期補修で実施した生産性向上により、工事終了後の稼働率は高水準で安定している。最終黒字化に向け、スポンサー間の協議を継続する」と強調した。
セグメント別に見ると、燃料油セグメントは減収増益。タイムラグなどによる国内主燃マージンの改善や、前年度の反動による連産品マージンの改善、自家燃コストの減少などにより増益となった。
基礎化学品セグメントは減収増益。前年度定修の反動やPX知多稼働に伴う増販などにより数量要因が改善。製品マージンの改善や自家燃コスト減などが寄与し増益となった。
高機能材セグメントは増収増益。潤滑油事業は前年度のマイナスタイムラグ解消などにより増益。機能化学品は不採算事業からの撤退などにより増益。電子材料は足元の需要減に伴う減販などにより減益だった。
電力・再生可能エネルギーセグメントは減収・損失。電力は自社電源での供給・販売を基本とした取り組みは進展も、販売価格の低下などの影響が上回り減益。ソーラーは構造改革に伴うコスト低減や自家消費型太陽光発電販売の進展などにより改善した。
資源セグメントは減収減益。石油・天然ガス開発事業・地熱事業は原油価格の下落や操業費用の増加で減益となった。
石炭事業・その他事業は、鉱山規模縮小による生産数量の減少や電力用の石炭市況の下落などにより減益だった。
なお通期業績予想については前回発表を据え置く。尾沼執行役員は「製油所でトラブルが発生し、減益リスクがある」としたものの、「東亜石油以外のトラブルは対応が終わり通常稼働に戻っている。東亜石油についても3月までに解消する」と示唆した。