東ソーの3月期 クロル・アルカリ事業の黒字化で増益

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2024年5月14日

 東ソーは13日、2024年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年比6%減の1兆56億円、営業利益7%増の798億円、経常利益7%増の959億円、純利益14%増の573億円だった。

 坂田昌繫執行役員経営管理室長は「世界経済の減速を背景とした販売数量の減少や、塩ビやMDIの海外市況の下落もあり、円安効果もあったが、収益とも昨年11月の予想値を下回った」と総括した。

 セグメント別では、石油化学事業は減収減益。エチレンおよびプロピレンは四日市プラントのトラブルにより生産量および出荷が減少。キュメンは需要回復により出荷が増加した。PE樹脂は需要が低迷し、国内外とも出荷が減少。クロロプレンゴムは、需要低迷で出荷は減少したが輸出価格は円安で上昇した。

 クロル・アルカリ事業は減収増益。カセイソーダは定修で出荷減。価格是正で国内価格が上昇し、海外市況下落で輸出価格は下落した。塩ビモノマーは定修で出荷減少。塩ビ樹脂は国内輸出とも出荷が増加したが、海外市況は下落した。MDIの出荷は前年並みだが、中国ゼロコロナ政策を背景とした需要減により海外市況が低迷した。

 機能商品事業は減収減益。エチレンアミンは、世界的な景況感悪化に伴い出荷が減少し海外市況が下落。臭素は生産能力の増強に伴い海外で拡販したが、市況影響で価格は下落した。計測関連は米国と中国で液体クロマト用充填剤が減少。診断関連は国内外で自動ヘモグロビン分析装置・試薬が伸びたが、国内向け遺伝子検査試薬は減少。ハイシリカゼオライトは自動車用途で出荷が増加し、円安で価格が上昇した。ジルコニアは装飾・歯科用途で出荷が減少したが円安や価格是正で販売価格が上昇。石英ガラスは半導体需要の減速で出荷が減少した。

 エンジニアリング事業は増収増益。水処理は電子産業分野の国内外大型案件の工事が順調で、メンテナンスや設備保有型サービスなども好調だった。

 2025年3月期の通期業績予想については売上高8%増の1兆900億円、営業利益25%増の1000億円、経常利益2%増の980億円、純利益3%増の590億円を見込む。坂田執行役員は「クロル・アルカリは市況、需給とも厳しい状況にある。2023年に底打ち感が出てきており、今年度は回復を期待している」と語った。