積水化成品工業は1日、耐熱120℃のビーズ発泡体の量産化技術を確立したと発表した。同社は、120~200℃までの幅広い耐熱要求に応えるエンジニアリングプラスチックと、スーパーエンジニアリングプラスチックを主原料とする発泡体の開発に取り組んでおり、「ST‐Eleveat」としてブランド展開している。
今回、量産化技術を確立した製品は、120℃・168時間の条件下で寸法収縮率が1%以下という耐熱性のほか、難燃性や軽量性にも優れる特長をもつ。難燃性では、自動車内装材料の燃焼性試験FMVSS302に適合しており、軽量性では非発泡樹脂成形品と比べ80~90%の軽量化が可能だ。
また、特殊成形機に頼らず、ビーズ粒子径が小さいため複雑な形状の製品も成形が可能。ベース樹脂を5~10倍に発泡することから省資源性が高い環境対応製品となっている。
近年、省エネや二酸化炭素排出量低減の観点から、構造部材の樹脂化やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の活用などによる軽量化が進んでいる。しかし、従来のビーズ発泡体の耐熱温度は80~100℃以下程度のため、エンジンルーム内などの高温となる部位での実用化は進んでいない。そのため、構造部材として適用可能な高耐熱、高強度かつ軽量化に寄与する樹脂素材が、自動車や輸送用機器市場から求められている。
同社は今後も、耐熱120℃以上のラインアップ拡充を加速させていき、グローバルに市場開発を進めていく考えだ。「ST‐Eleveat」ブランドとして、2023年に80億円の売上を目指す。
なお、今月17~19日に、ポートメッセなごやで開催される「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」では、試作成形品を出展する予定(ブース番号:第3展示館・№144)。