旭化成建材 熱中症意識調査、住宅内で10人に1人が発症

,

2019年7月22日

 旭化成建材は「住宅の温熱性能と居住者の意識(熱中症に関する意識)」調査の結果を発表した。

 同社の快適空間研究所では、できるだけ冷暖房設備にたよらない「あたたかい空間」での心と体と懐があたたかくなるいきいきとした暮らしを「あたたかい暮らし」と定め、その空間の普及のために情報発信、啓発活動を継続。その活動の一環である「あたたかい暮らし研究会」では、首都大学東京建築学域須永研究室と共同で、「住宅の温熱性能と居住者の意識」について調査を実施した。

 今回、昨年8月に行った住宅内での熱中症に関する調査結果が判明した。近年、地球温暖化や都市のヒートアイランド現象の影響により、熱中症が急増し社会問題化。特に、昨夏は記録的な猛暑(1946年の統計開始以降で最高)となり、熱中症による全国の救急搬送者数(5~9月)は過去最多の9万人以上だった。

 また、熱中症の発生場所別に見ると、住居が3万8836人(40.3%)と最も多く、住宅内での熱中症対策は喫緊の課題。同研究会が行った調査では、住宅内で熱中症(疑いも含めて)になったと回答した人は10人に1人、住宅内で熱中症になった場所は、「寝室」が1位、次いで「居間・食堂」、高齢の人ほど熱中症に対する意識が低い傾向、などが分かった。

 熱中症を予防するために「空調設備や扇風機を上手に使うこと。高齢者は、暑さに対する感覚・調節機能が低下し、体内の水分が不足しがちになるため、熱中症にかかりやすく、特に注意が必要であるということ。室内に温湿度計を置いてこまめにチェックすること」などの対策が、環境省などにより幅広く周知されている。今回の調査からも、多くの人が住宅内での熱中症に対する意識が低く、熱中症になりやすいとされる高齢者ほど意識と実態が乖離していた。

 そのため、同社は「暑くないから大丈夫だと過信せず、こまめに温湿度を確認する必要があることや、誰もが手軽に行える対策として室内に温湿度計を置くこと」などを、高齢者を中心に、幅広く伝える活動を実施する予定。また、温熱性能が高い住まいの新たな生活価値として、就寝時の環境が快適で熱中症のリスクが低いことが分かったことから、引き続き、住まいの温熱性能と居住者の生活価値に焦点をあてて調査研究を深掘りしていく。

 併せて、住宅の高断熱化を促進するため、「温熱性能の高い住まい」での「あたたかい暮らし」の価値を多くの人に理解・共感してもらえるよう、幅広く情報発信をしていく考えだ。