住友化学は1日、飼料添加物メチオニン事業に関し、1966年に愛媛工場で生産を開始して以降、順次増強してきたプラントのうち、生産効率の低い旧式のプラントについては9月末で停止し、コスト優位性のある他のプラントも必要に応じた生産体制の見直しにより競争力を強化すると発表した。
メチオニンは動物の体内では合成することができない必須アミノ酸の一種。トウモロコシなどを主原料とする鶏の飼料はメチオニンが不足していることが多いため、世界的な人口増加や経済成長などにより需要が拡大する鶏肉や鶏卵の生産性向上を目的に、飼料添加物として広く使用されている。
このため、メチオニン市場は、この10数年間で倍増するなど、年率で約6%、数量換算では年間約8万tもの勢いで成長しており、この先も同程度の伸びが期待されている。
同社は、メチオニン事業で原料から一貫生産している強みに加え、長年培ってきた独自の生産技術を基に、原料と用役のロスを大幅に削減した年産10万tの新系列を2018年10月に完工。現在、総合化学メーカーとして保有する特殊な廃液・排ガスの取り扱いのノウハウを生かし、高度な環境・安全対策、品質管理体制の下、安定的にフル生産を継続している。
一方で、今回、操業開始から50年以上が経過し、維持・補修費が年々増加するなど生産効率の低いプラントについては9月末をもって停止したほか、他の生産プラントも必要に応じた生産体制の見直しを行うことで、競争力のさらなる強化に取り組むことを決定した。
同社は、これからも世界約90カ国の顧客にメチオニンを継続的に提供することで、世界規模での安全・安心な食料の供給に貢献していく考えだ。