昭和電工は18日、今月9日に設立した完全子会社のHCホールディングスを通じ、日立化成の全株式を株式公開買い付け(TOB)で買収すると発表した。
昭和電工によれば、日立化成が目指す「機能創出・ソリューション提供を通じた存在感のあるグローバルトップクラスの高機能材料メーカー」と、昭和電工が求める「製造業を超えたソリューション提供カンパニー」という目指す姿が一致していることに加え、日立化成の「ニッチ&クラスター戦略」は、昭和電工の「個性派事業戦略」と、ソリューション志向である点や、多くのグローバルトップシェア事業を対象とした成長戦略であるといった意味で共通性があると考えている。
こうした背景から、日立化成を子会社化することは、両社の経営方針にも合致するとし、今回の買収合意に至った。買収金額は9600億円超となる見込み。
昭和電工が目指す「個性派企業」とは「収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体」であり、「個性派事業」は適正な市場規模でグローバルトップシェアを獲得できる事業と定義している。
適正な市場規模は個別事業分野の特性や事業環境によるが、1つの目安として500億~5000億円の市場を有力な対象として考えている。
昭和電工は、電子材料用高純度ガスやハードディスク、さらには黒鉛電極など、すでに特色ある複数の個性派事業をもっており、また、アルミニウム事業やセラミックスを含めた非有機・無機化学品事業が、売上高の半数超となっている。
この点、有機化学の事業が大宗を占める企業が多く存在する化学業界の中で、化学メーカーでありながら売上高の半数超が非有機・無機化学品事業で占められる昭和電工の事業ポートフォリオは、世界的にもユニークな事業ポートフォリオとなっている。
昨年12月に公表し、今年から開始した3カ年の中期経営計画「The TOP 2021」の中では、既存の個性派事業に続く新たな個性派事業群の確立に取り組み、2025年には少なくとも既存事業の半数以上を「個性派事業」とすることを中長期的な経営目標としている。
このような経営戦略を実現するために、1500億円のM&A枠を含む総額4000億円の投資枠を打ち出し、個性派企業として競争力を高める手段としての他社との提携やアライアンスの方策の検討を進めていた。