《化学企業トップ年頭所感》クラレ 伊藤正明社長

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2020年1月10日

 今年はクラレグループにとって、中期経営計画「PROUD2020」の最終年度であると同時に、次の中期計画を策定する年でもある。現計画に込めた自分たちの「思い」をもう一度確認し、掲げた諸施策の進捗を点検して、戦略・アクションプランの変更が必要だと判断した場合は、躊躇なく迅速に対応する。このような取り組みを通じ、今年を次期中期計画に備えた足元を固める1年としてもらいたい。

 ここで、私がいつも言っていることを繰り返す。1つ目は安全について。全員が「安全はすべての礎」ということを念頭に置き、「安心して働ける会社、事故や災害が起こらない安全な会社」を作り上げるため、自らの責任として無事故・無災害を目指してもらいたい。

 2つ目はクラレグループで働く社員が、「そこで働くことに誇りを持てる会社」にしたいということ。昨年は炭素材料事業で、公正取引委員会から排除措置命令を受けた。2017年にも防衛装備庁入札に関わる排除措置命令を受け、取引の見直し、再発防止に取り組んできたが、再び排除措置命令を受けたことは、誠に残念で痛恨の極みである。

 取り組みに何が足りなかったのか、進め方に問題がなかったかを検証した上で、もう一度全社を挙げて不正な取引の防止をはじめ、コンプライアンス体制の見直し、強化を図らねばならない。

 また、クラレグループは様々な個性を持った人たちが安心して働ける職場、働きやすく、働き甲斐のある職場をつくっていくことを目的に働き方改革を進めている。この活動を通じて、ダイバーシティに富んだ、社員が誇りを持って働ける会社の実現に向け取り組んでいこう。

 最後に、長期ビジョンのありたい姿でもある「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に発展していく会社」について。独自の技術をベースに、クラレの内外にある新しい技術・力を活用し、既存事業はさらに強く大きくするとともに、今後の成長を期待する事業は、早期の規模拡大と収益向上を目指してもらいたい。

 研究開発のあり方・進め方を見直してから、少しずつ成果に繋がり始めているが、まだまだ道半ば。「さすがクラレ」と言われる新素材・新技術を1日も早く世に出して、成功体験を積み重ねていこう。