コロナ影響が拡大、需要減少とベンゼン安が要因
合成樹脂や合成ゴムの原料であるスチレンモノマー(SM)は、アジア市況が500ドル台に急落している。原料ベンゼンとのスプレッドは一時期の100ドル台前半から200ドル前後に改善しているものの、事業環境は厳しさを増している状況だ。
SMが急落した背景として、誘導品需要の減少やベンゼン市況の軟化が挙げられる。新型コロナウイルス感染が中国国内に拡大したことで、物や人の流れが寸断。SMの主用途であるABS樹脂やポリスチレンなどの工場が、春節明けの稼働開始が遅れる事態となった。そのため休暇前に積み増していた在庫が消化できず、需給バランスが大幅に悪化している。
さらに原油価格の暴落に伴い原料ベンゼンの市況が急落したことも、SM市況の下押し要因となった。世界経済の減速懸念から下落していた原油価格は、3月に入りロシアを含めたOEPCプラスの協調減産が破棄されたことで暴落。それに連動し一気にナフサ安となり石化市況は弱含みの展開となった。
ベンゼン市況は、3月第1週は