帝人 米ヘルスケアVCに出資、新規製品創出などを強化

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2020年4月15日

 帝人はこのほど、米国のヘルスケアベンチャーキャピタル(VC)ファンドであるメドテック・コンバージェンス・ファンドに、最大で約9000万米ドル(約100億円)の出資を行うと発表した。

 同ファンドは、米国のVCであるSVヘルスインベスターズ(マサチューセッツ州)が運営。帝人は今回の出資を通じ、米国を中心に欧州やイスラエルなどを対象地域としたアーリーステージ企業への投資を行うことで、ヘルスケア領域の新規製品・サービスの獲得を推進する。

 帝人グループは、中期経営計画「ALWAYS EVOLVING」(2020~22年度)の中で、ヘルスケア事業領域の中長期戦略として、医薬事業・在宅医療事業で培った強みを生かした地域密着型の総合ヘルスケアサービス事業の展開を掲げている。一人ひとりの健康生活のサポートを目指し、画期的なヘルスケア製品やサービスの創出に向けた取り組みを強化していく方針だ。

 メドテック・コンバージェンス・ファンドには、米VCのノリッジベンチャーズ(マサチューセッツ州)のパートナーも参画しており、共同で投資活動を行っている。SVヘルスインベスターズとノリッジベンチャーズは、米国を中心に医療機器のスタートアップ企業に対する投資や事業育成に優れた実績があり、投資による資金援助だけでなく、取締役の派遣や戦略的な提言など経営にも深く関与し、多くの医療機器関連のスタートアップ企業を支援してきた。

 こうした中、帝人は、米国の両VCとヘルスケア領域へのソリューション提供で目指すべきビジョンが一致していることから、今回の出資を決定。帝人は今後、メドテック・コンバージェンス・ファンドに社員を派遣し、グローバル市場でのヘルスケア事業展開に向けたパートナーシップを長期的に強化していく。また、共同でインキュベーション活動を推進し、医療機器・サービスに関連した帝人グループの研究開発機能の活性化を目指す。

 少子高齢化が進展する日本のみならず、世界中で製品、サービスとデジタル技術の組み合わせによるヘルスケアソリューションの価値がますます高まる中、同社グループは、高品質な製品と専門性の高いサービスを提供することにより、患者のQOL向上に努めていく。