デンカはこのほど、北海道大学の髙田礼人教授(人獣共通感染症リサーチセンター)と共同開発したエボラウイルス迅速診断キットの国内製造販売承認を今月10日に申請したと発表した。
同キットは診断結果を約10分で迅速に判定できる。また特別な器具や装置を必要としないことから、医療施設が十分に整っていない地域でも使用することが可能だ。同社はこれまでコンゴ民主共和国に2017年から複数回にわたりJICA(国際協力機構)を通じて試作品を無償提供してきた。
今回の申請を行うにあたっては、同国の医学生物研究所にて同キットを使用した臨床試験を実施し、優れた有用性があることが確認されている。エボラウイルス感染症の制御には継続的な医療体制の維持整備が必要とされており、同社は国際的に認められている日本の薬事承認を得ることで、同キットがアフリカ諸国の医療システムへの正式採用につながるものと考えている。さらに、承認後はWHO緊急承認プログラムの承認取得を目指していく考えだ。
デンカは経営計画「Denka Value‐Up」の中で、ヘルスケア事業を重点分野の1つと位置づけている。今後も感染症の予防と早期診断を通じて世界の医療の課題解決に取り組み、人々のQOL向上に貢献していく。