積水化学の3月期 新型コロナ影響などにより減収減益

,

2020年4月28日

 積水化学工業は27日、2020年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年度比1%減の1兆1293億円、営業利益同8%減の878億円、経常利益同7%減の870億円、純利益同11%減の589億円の減収減益となった。

 グローバル自動車市況の低迷や消費増税影響に対し、サプライチェーン全体でのコスト革新と固定費削減に取り組んだが、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景としたモビリティ分野での顧客の稼働低下、住宅・リフォームの引き渡し遅延などにより、減収・各段階利益の減益となった。環境・ライフラインカンパニーは社会課題解決に資する重点拡大製品の販売が順調に伸長し、カンパニーとしての営業利益は最高益を更新した。

 セグメント別に見ると、住宅カンパニーは、消費増税の影響がある中、売上の平準化やリフォーム事業の収益体質強化を図り増益基調で推移していたが、第4四半期にコロナの影響による引き渡し遅延が生じ、増収減益となった。

 環境・ライフラインカンパニーは、消費増税に伴う住宅着工数減少に加えて、コロナ影響による工事遅延、設備投資停止などにより汎用品の販売が苦戦したものの、重点拡大製品の販売が順調に拡大したことにより、前年並みの売上となった。

 また、構造改革の推進や製品構成の改善が寄与し、カンパニーとしての最高益を更新した。高機能プラスチックスカンパニーは、自動車関連を中心とした海外市況低迷長期化を受けて、サプライチェーン全体のコスト革新や原材料価格の低下に伴うスプレッド改善を推進したが、コロナ拡大に伴う顧客の稼働低下の影響が大きく減収減益となった。

 メディカル事業は、検査事業を中心に欧米や中国での販売が拡大し増収となったが、営業利益は、成長投資が先行している中、コロナ拡大による生活習慣関連病の外来検査減少の影響もあり減益となった。

 今年度の通期予想については、売上高同2%減の1兆1074億円、営業利益同20%減の700億円、経常利益同21%減の690億円、純利益同26%減の435億円を見込んでいる。市況については、第1四半期はコロナの影響により国内外の経済活動が大幅に制約を受けるものの、第2四半期以降徐々に回復し下期には正常化すると想定している。