帝人は2日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比10%減の3941億円、営業利益8%減の311億円、経常利益9%減の302億円、純利益22%減の160億円となった。
電話会見で園部芳久代表取締役専務執行役員CFOは「売上高は、マテリアル事業での自動車・航空機用途の需要減や、薬価改定影響があり減収となった。営業利益はマテリアル事業の赤字が響き減益となったが、医療用ガウンの貢献や、IT事業の好調持続が減益分をカバーした」と総括した。
マテリアルセグメントは、売上高26%減の1263億円、営業損失5億円(107億円の悪化)。アラミド繊維は、タイヤ補強材や摩擦材などの自動車用途や光ファイバーを中心に販売量が減少。ポリカーボネート樹脂は、ノートパソコン向けの特需があったものの、事務機用途や自動車用途での需要が減少した。炭素繊維は航空機用途で販売量が大幅に減少し、先行投資も嵩んだ。複合成形材料は米国自動車市場の急回復に伴い、7―9月期は自動車部品の生産・販売が改善した。
ヘルスケアセグメントは、売上高8%減の730億円、営業利益15%減の165億円。医薬品では高尿酸血症・痛風治療剤を中心に国内で薬価改定の影響を受けた。在宅医療は、睡眠時無呼吸症候群治療でのCPAPは、入院検査数の減少に回復の兆しが見られ、レンタル台数の増加も継続した。在宅酸素療法(HOT)市場では、在宅医療導入が増加しレンタル台数が増加した。
繊維・製品セグメントは売上高3%増の1581億円、営業利益4・5倍の127億円。コロナ影響により需要が急増した医療用ガウンなどの大量供給が寄与した。テキスタイル、重衣料および自動車関連部材は苦戦したが、インフラ補強材や水処理膜向けのポリエステル短繊維の販売は好調を維持した。
ITセグメントは売上高24%増の286億円、営業利益31%増の48億円。電子コミック配信サービスは、在宅時間が増加したことで需要が拡大し引き続き好調に推移した。
なお同日、通期連結業績予想の修正を発表。売上高8000億円(前回予想比500億円増)、営業利益500億円(同100億円増)、経常利益480億円(同80億円増)、純利益250億円(同50億円増)を見込む。
園部専務は「上期の業績回復状況を踏まえ、上方修正を行った。コロナ影響を見ると、自動車分野は米国でSUVやピックアップトラックが第2四半期から急回復している。マテリアルは上期赤字だったが通期ではゼロにまで改善する」との見通しを示した。