住友化学 PDHの水素でメタノール合成、技術確立を検討

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2020年12月25日

 住友化学は24日、シンガポールの石油化学コンプレックスにおいて、プロパン脱水素(PDH)技術の導入を検討するとともに、PDHから副生される水素と石化設備から排出されるCO2を原料に、高効率でメタノールを合成する技術と組み合わせる検討を開始したと発表した。PDH技術によるプロピレン需要への対応と、CO2削減による環境負荷低減の2つを同時に実現することが期待される。なお同件は、低炭素社会と経済活動とを両立できる取り組みであることから、シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けている。

 近年、シェールガス由来のエタンを原料とするエタン・クラッキングが増加しているが、ナフサ・クラッキングに比べてエチレン以外の生産物が少ないため、プロピレンが相対的に不足する傾向にある。同社は、シンガポールの石化コンプレックスにPHD技術の導入を検討し、プロピレン供給不足への対応を図っていく。

 一方、産業活動で多量発生するCO2に対し、排出削減や有効活用が求められている。同社は現在、島根大学と共同でCO2からメタノールを高効率で合成する技術研究を推進。この技術が確立されれば、メタノール合成に必要となる原料について、PDH技術による水素と、石化コンプレックス内で排出されるCO2を有効利用することができる。

 同社は、シンガポールの拠点に、PDH技術と、高効率なメタノール合成技術を組み合わせて実装していくことを検討する。そして、シンガポール政府の協力も得ながら、同技術の早期導入を果たすとともに、これからも経済価値と社会価値の両方を創出し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献していく。

シンガポールでPHD技術とメタノール技術導入を検討
シンガポールでPHD技術とメタノール技術導入を検討