サンエー化研の3月期 シノムラ化学の貢献で増収増益

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2021年6月8日

 サンエー化研は3日に2021年度3月期の決算説明会を開催し、決算概要の報告を行った。

 山本明広社長は「全セグメントで販売数量が減少したが、高価格帯製品の販売とシノムラ化学の子会社化により増収となった。損益面では、掛川工場WESTの減損処理に伴う償却費や固定費の削減、原材料単価の下落などで営業利益は増益。また、前期計上のグループ会社の減損がなくなったことに加え、シノムラ化学の負ののれん発生益もあり、経常利益と純利益は黒字化した」と総括した。

 売上高は前年比1%増の300億円、営業利益は238%増の6億1000万円、経常利益は10億7000万円改善し9億1000万円(前年は1億6000万円の赤字)、純利益も黒字化し24億4000万円改善の11億円(同13億4000万円の赤字)と、増収増益だった。

 セグメント別では、軽包装材料は増収増益。外出自粛で清涼飲料用パウチは減少したが、内食用の電子レンジ対応食品包材が増加。外来患者の減少で医療用包材が減少した。化粧品関連は減少したが、ハンドソープや消毒液などの包材は増加した。

 産業資材は増収・営業損失。粘着テープ基材や剥離紙の売上は減少したが、フレキシブルプリント基板用工程紙の夏以降の回復と、シノムラ化学の子会社化による効果で、営業損失は縮小した。

 機能性材料は減収減益。表面保護フィルムの内、粘着塗工タイプはテレワーク増加でパソコン需要は堅調だったが、二軸押し出しタイプと精密塗工タイプは偏光板やスマートフォンの需要低迷の影響を受けた。

 なお、2022年3月期については、売上高287億円、営業利益は3%増の6億3000万円、経常利益は16%減の7億6000万円、純利益は52%減の5億3000万円を見込む。今年度より「収益認識に関する会計基準」を適用するため、売上高は減収予算となっているものの、従来基準で算定すると売上高は6%増の317億円の見通しだ。山本社長は「電子レンジ対応食品包材が世界包装機構のワールドスター賞を受賞した。生産体制強化と食品メーカーとの協業を進める。消費者向け抗菌・抗ウイルステープも新たな収益基盤として育成する。また生産・開発・販売でシノムラ化学とのシナジー効果を創出し、ITと医療分野へ製品展開する」とし、市場ニーズへの対応と顧客との協業を進める考えだ。