ランクセスはこのほど、2021年度第1四半期の業績を発表した。グループ連結売上高は新型コロナウイルスのパンデミックの影響をまだ受けていない前年同期比で微減の16億9300万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは微減の2億4200万ユーロ、純利益は前年並みの6300万ユーロと堅調だった。
販売量は自動車産業の需要伸長でエンジニアリングマテリアルズ部門を中心に前年同期を上回ったが、米国での天候不良による製造停止の影響でアドバンスト中間体部門とスペシャリティアディティブス部門、コンシューマープロテクション部門で相殺された上、為替とエネルギーコスト増がマイナスに作用した。その一方で成長・拡大を積極的に推進した。
コンシューマープロテクション部門では仏INTACE社の買収で紙・パッケージ向け抗菌剤領域を、テセオ社の買収で家畜衛生市場向け製品を大幅に拡大した。また、米エメラルド・カラマ・ケミカル社の買収により、食品産業や畜産衛生といった新たな応用分野での拡大を図り、中国・天賜材料との協業でLIB用電解質フォーミュレーションを製造する予定だ。
セグメント別に見ると、アドバンスト中間体部門は増収減益。良好な需要で販売量は増加したが、販売価格の引き下げや、為替と米国寒波による製造停止のマイナス影響を補えなかった。
スペシャリティアディティブス部門は減収減益。米国寒波による製造停止と航空業界の需要低迷で販売量は減少し、為替もマイナスに作用した。
コンシューマープロテクション部門は増収増益。販売価格の引き下げにもかかわらず、堅調な農薬事業と消毒剤の好需要による好業績で高い数値を維持した。
エンジニアリングマテリアルズ部門は増収増益。自動車産業の好需要の恩恵は、輸送費とエネルギーコストの上昇分を上回った。
なお、2021年度通期の業績については、好業績の第1四半期を受けて予測値を引き上げ、特別項目を除いたEBITDAは現時点で9億5000万~10億ユーロを見込んでいる。