宇部興産は3日、2022年3月期第1四半期(4-6月期)の連結業績を発表した。売上高1463億円(今年度より収益認識に関する会計基準を適用)、営業利益89億円(前年同期比95億円増)、経常利益89億円(同102億円増)、純利益47億円(同60億円増)となった。
電話会議による決算会見において、藤井正幸取締役常務執行役員は、「昨年同期はコロナ影響の拡大で需要が減退し業績が悪化した。しかし、昨年後半以降は回復傾向が続いており、今期の営業利益はコロナ禍前の2019年度第1四半期(73億円)を上回る水準となった」と総括した。
セグメント別にみると化学セグメントは増収増益。ラクタム事業は、堅調な需要による販売数量が増加し、ベンゼンなど原料市況の上昇などもあり販売価格が上昇した。ナイロン事業は販売価格の上昇に加え、自動車向けなどの需要回復もあり販売数量も増加した。工業薬品事業は、アンモニア工場で隔年の定期修理がなく、生産量・出荷量ともに増加。ファイン事業は、自動車関連製品を中心に販売数量が堅調に推移した。
合成ゴム事業は、タイヤ用途を中心に出荷が堅調に推移したことに加え、原料ブタジエン市況の上昇などにより製品価格が上昇した。機能品事業の電池材料事業は、自動車向けの需要回復により販売数量が増加。ポリイミド事業は、ディスプレイ向けCOFフィルムの販売数量が増加し、また有機ELパネル向けワニスの需要も堅調に推移した。医薬事業は、自社医薬品の販売が低調に推移したが、受託医薬品の販売が既受注品を中心に伸長した。
建設資材セグメントは減収減益。セメント・生コン事業は、震災復興工事の落ち着きや新幹線延伸工事の反動減の影響などにより出荷が減少。それに加え、収益認識会計基準などの適用が販売子会社を中心に大きく影響した。カルシア・マグネシア事業は、鉄鋼向けの生石灰および鉄鋼・電力向けマグネシアなどの需要回復により販売数量が増加。エネルギー事業は、IPP発電所で隔年の定期修理を実施したことに加え、設備の不具合などもあり修理期間を延長したことで売電量が減少した。
機械セグメントは増収増益。成形機事業は、自動車産業向けの需要回復に地域差があるものの中国・北米市場向けの販売が堅調に推移した。産機事業は、電力会社向け運搬機などの販売が堅調だった。製鋼事業は、原材料価格上昇に応じて販売価格が上昇した。
なお通期業績予想については前回発表した数値を据え置いている。藤井常務は「第1四半期が好調だったことから、上期は上振れる可能性が高いと見ている」と語った。下期については、「石炭価格の上昇に加え、コロナ変異株や半導体不足の影響など懸念材料もある」とし、前回予想を据え置いている。