昭和電工は10日、東芝研究開発センターと東芝デバイス&ストレージの提唱する新記録原理に基づいた次世代記録技術MAS‐MAMR(強磁性共鳴型マイクロ波アシスト磁気記録)に対応したハードディスクドライブ(HDD)用のHDメディアを開発したと発表した。
MAS‐MAMRは、現在最先端の記録技術であるMAMRにおける記録トラック幅を強磁性共鳴効果(MAS効果)により大幅に微細化し、HDDの一層の大容量化を実現する次世代の記録方式。昭和電工はこの新記録原理を実現するため、東芝とヘッドメーカーであるTDKとともに、3社で協力して同技術の開発を進めてきた。
今回の開発において、TDKが開発した双発振型スピントルク発振子を組み込んだ記録ヘッドと、昭和電工が開発した新規磁性層を搭載したHDメディアを組み合わせることで、MAS効果を発現させて記録容量を大幅に増大できることを世界で初めて実証した。
昭和電工は、今年からMAMRを用いた東芝のデータセンター(DC)向け18TBのニアラインHDDに対応したHDメディアを供給しているが、技術開発の成果をもとに、東芝が実用化を目指すMAMR第2世代となるMAS‐MAMRを使用した30TBを超える大容量ニアラインHDDの実現に向け、HDメディアの開発を加速する。
リモートワークや5G、IoTなどの普及に伴うDXの進展により、データ生成量や流通量が急増する中、大量のデータを記録、保管するDC向けの大容量ニアラインHDDの開発が強く求められている。昭和電工はこうした記録容量増大の強い要請に対応するため、今後も〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、MAS‐MAMRとともにHAMR(熱アシスト磁気記録)にも対応する二軸開発を加速させ、世界最高クラスの製品開発に努めていく。