デンカ ノロウイルスワクチンでライセンス契約を締結

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2019年1月11日

 デンカは10日、北里大学北里生命科学研究所・感染制御科学府ウイルス感染制御学Ⅰの片山和彦教授と、「ノロウイルスワクチンシーズ」の成果物に関し同社が独占的に利用できるライセンス契約を締結したと発表した。

 同ワクチンシーズは、片山教授が研究開発を務めた日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」で開発された。

 同成果物は「ノロウイルスVLPを特異的に認識するモノクローナル抗体を作出するハイブリドーマ」と「ノロウイルスVLPを作出可能な組換えバキュロシードウイルス」。VLPはウイルスと同じ形状と抗原性を持つが、遺伝子を持たず感染の恐れがない中空のウイルス粒子のこと。

  ノロウイルスにはたくさんの遺伝子型があり、互いに抗原性が異なることから、ワクチン開発には、流行するノロウイルスの遺伝子型にあった抗原と抗体が必要だ。

 今回契約を締結したノロウイルスワクチンシーズには、それぞれの遺伝子型のVLPを特異的に検出するモノクローナル抗体が含まれていることから、混合比、混合したVLPの品質確認、ワクチンの検定など、混合ワクチンの品質管理も可能となり、将来的には流行に応じた迅速なワクチン開発が可能になることが期待できる。

 また、同社のグループ会社であるデンカ生研では、現在、「ノロウイルス抗原検出キット」を販売しており、同製品の性能向上にも寄与することが見込まれる。毎年、冬季に流行するノロウイルス感染症は、国民生活の質の維持向上や経済活動に大きな影響を及ぼしており、感染を防いだり、症状を緩和したりするワクチンの開発が望まれている。

 このような社会の要望に応えるため、現在、同社のドイツにある子会社アイコンジェネティクス社では、同社が保有する植物の遺伝子組み換え技術を使い、高分子タンパク質を産生する技術プラットフォームである「magnICON」をベースに、VLPを抗原としたノロウイルスワクチンの開発を行っている。

 デンカグループは今回の契約を活用し、社会課題の解決につながる製品開発を加速していく方針だ。