デンカは21日、自動車業界の電動化に伴う放熱材料のグローバルな需要拡大に迅速に対応するため、総額約80億円の設備投資を実施すると発表した。
窒化珪素セラミックス基板と球状アルミナのトップメーカーとして生産能力を増強し、グローバルに普及が進む電気自動車(EV)などの環境対応車を中心とした放熱材料市場を強力に牽引していく。
セラミックス基板の生産能力増強は、大牟田工場(福岡県大牟田市)で行う。窒化珪素セラミックス基板の前工程に最先端の自動化プロセスを導入し、2018年度比で約3倍の生産体制を構築し、トップメーカーとしての地位をさらに強固にしていく。投資総額は約40億円。2020年下期の稼働を予定している。
一方、球状アルミナの生産能力増強は、シンガポールの連結子会社Denka Advantechで行う。現在同製品は大牟田工場で製造しており、シンガポールに生産設備を増設することで、生産拠点の分散によるBCPを確立するとともに生産能力を同比で約5倍に増強。伸長著しいグローバル市場に応える圧倒的な供給体制を整えていく。投資金額は約40億円。2021年上期の稼働を目指す。
同社は経営計画「Denka Value‐Up」で、2022年度の営業利益に占めるスペシャリティー化率90%を目標に掲げている。今後も将来需要に対応した投資を迅速に行い、重点分野の1つである「環境・エネルギー分野」のさらなる成長を目指す。