JSRは27日、2023年3月期連結業績を発表した。売上高が前年比20%増の4089億円、コア営業利益21%減の340億円、営業利益33%減の294億円、親会社の所有者に帰属する当期利益58%減の158億円の増収減益だった。
27日の決算説明会で、江本賢一取締役は「ディスプレイと合成樹脂は需要環境悪化と21年度の特殊要因の影響で減益。半導体とライフサイエンスは増収増益。半導体の事業構造改革費用を業績に反映した」と説明した。
セグメント別では、デジタルソリューション事業は増収減益。半導体材料は、円安影響と主要顧客の新規立ち上げで堅調。プロセス材料なども主要顧客向け製品が順調に始動した。電子材料事業の強化に向け、台湾、中国に現地法人を設立し、韓国の販売代理店を完全子会社化した。5G・6G通信システムや自動運転の本格化を背景に実装材料を開発・上市した。メモリー、ロジック半導体向け材料は、過剰在庫やメモリー市況下落で成長が鈍化。洗浄剤も需要減に対する大幅な事業規模縮小で増収減益となった。ディスプレイ材料は大型TV液晶パネル用の配向膜と絶縁膜の拡販を進めたが、パネルメーカーの大幅な在庫調整により減収減益。エッジコンピューティングはスマホ市場の低迷で減収減益だった。
ライフサイエンス事業は増収増益。CDMO・CRO事業の販売拡大と診断薬事業の好調、円安影響で増収。KBIバイオファームの新工場立ち上げ費用は増加したが、医学生物学研究所(MBL)の新型コロナウィルス抗原検査キットの好調で増益となった。
合成樹脂事業は増収減益。自動車、家電・電子機器が軟調で数量は低下したが、販売単価上昇により増収。しかし数量減少により減益となった。
2024年3月期予想については、売上収益8%増の4420億円、コア営業利益23%増の420億円、営業利益43%増の420億円、当期利益58%増の250億円を見込む。江本取締役は「需要抑制や為替影響などの不透明な状況が続く」とした上で、「半導体の売上はフラットだが、次年度に向けた投資を増やす。ディスプレイは回復が見込まれる。KBIは後半にはフル生産となり、利益率向上に向けた改革プロジェクトやM&Aによる新規CROビジネスを取り込む」と、大幅な利益回復を目指す。