トクヤマの上期 販売数量減少で減収も価格修正で増益に

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2023年10月30日

 トクヤマは27日、2024年3月期第2四半期(4―9月期)連結決算を発表した。売上高が前年同期比0.2%減の1661億円、営業利益3.4%増の86億円、経常利益18%減の90億円、純利益5%減の62億円となった。

 オンライン決算会見で横田浩社長は、「半導体市場や化学品の海外市況の低迷により販売数量が減少し減収となったが、セメントや国内化学品の価格修正が進み増益となった」と総括した。

 セグメント別では、化成品は減収増益。カセイソーダは、国内の販売価格修正を進め増益。塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂は、海外市況の影響を受け減益だった。横田社長は「中国品の流入で東南アジアやインドの市況が低迷したため、クロアリ製品の輸出を抑制した」と、販売数量減少の要因を述べた。中国景気については「不動産不況が深刻化しており、今年度の回復は難しいのではないか」との懸念を示した。

 セメントは増収・営業利益は黒字転換。国内出荷は微減となったが、販売価格の是正により損益が改善した。ただ「人手不足の問題もあり、セメントの内需は厳しい状況だ。生産設備を最適化するため、引き続きキルン一基の停止を検討していく」と示唆した。

 電子先端材料は減収減益。世界的なエレクトロニクス市場の減速により、半導体ポリシリコン、乾式シリカ、ICケミカル、放熱材の販売数量が減少したことが響いた。ただ、ICケミカルは原料コストの減少で収益が改善している。

 ライフサイエンスは増収増益。歯科器材、医薬品原薬・中間体、眼鏡用フォトクロミック材料とも販売が堅調だった。環境事業は減収・営業損失。イオン交換膜は出荷減で減益。廃石膏ボードリサイクルは収集量の減少で減益だった。

 なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高のみ3550億円(前回予想比250億円減)に引き下げた。各段階の利益項目については前回予想を据え置いている。横田社長は「半導体市場の動向を踏まえて売上高を下方修正した。下期も厳しい事業環境が続くと見ているが、セメント、化成品、ライフサイエンスは収益を稼げる体制にあり、利益予想を達成できると確信している」と強調した。