出光の4―9月期 マージン改善で在庫影響除き増益に

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2023年11月15日

 出光興産は14日、2024年3月期第2半期(4―9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比16%減の4兆245億円、営業利益43%減の2029億円、経常利益41%減の2265億円、純利益41%減の1649億円となった。

木藤社長

 決算説明会で、尾沼温隆執行役員経理財務部長は「セグメント利益は前年度原油価格上昇に伴う在庫影響の反転などにより大きな減益となった。在庫影響除きでは石炭事業における鉱山規模縮小や、前年度の石炭市況高騰の反動などによるマイナスを、燃料油事業におけるタイムラグなどのプラスが上回り、増益となった」と総括した。ニソン製油所については「上期は概ね収支が均衡しており、通期では黒字を確保できる。定期補修工事は計画通り完了し、生産性向上などにより来年度は収益が改善する」と示唆した。

 セグメント別に見ると、燃料油セグメントは減収減益。原油価格の下落や販売数量の減少で減収。セグメント利益はプラスのタイムラグによる国内製品マージン改善があったものの、前年度の在庫評価影響や定期修繕などによる輸出数量減少で減益となった。ただ在庫評価影響除きでは71.9%増の1050億円となっている。

 基礎化学品セグメントは減収減益。定期修繕により販売数量が減少。パラキシレンやミックスキシレンのマージンは好調だったが、オレフィンの需要低迷により相殺された。

 高機能材セグメントは増収増益。潤滑油事業はマイナスのタイムラグが解消し増益。機能化学品は前年度の市況高騰の反動で減益。電子材料はスマホや有機ELテレビの需要減に伴う減販で減益だった。

 電力・再生可能エネルギーセグメントは減収・損失。電力事業は自社電源での供給・販売を基本とした取り組みの進展が寄与し増益。ソーラー事業も構造改革によるコスト低減や太陽光発電の販売が寄与し収益が改善した。

 資源セグメントは減収減益。石油・天然ガス開発事業・地熱事業は原油価格の下落や操業費用の増加で減益となった。石炭事業・その他事業は、鉱山規模縮小による生産数量の減少や前年度市況高騰の反動により減益だった。

 なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高8兆6500億円(前回予想比3500億円増)、営業利益2500億円(同1100億円増)経常利益2700億円(同1200億円増)、純利益1800億円(同800億円増)を見込む。木藤俊一社長は「7月以降は製油所の稼働が安定している。堅調な輸出マージンを見込み、通期業績予想を上方修正した。新中計の初年度として、まずまずの滑り出しだ」と手ごたえを示した。